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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上HDの「タイ国東京海上生命保険」 です
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東京海上HDの「タイ国東京海上生命保険」についてです。


2014年6月18日、タイの英字紙バンコクポストによると、タイ国東京海上生命保険は、
今年の保険料達成目標を37億9000万バーツ(約113億7000万円)、うち初年度保険料分
は10億6000万バーツ(約31億8000万円)、再保険料分は27億3000万バーツ(約81億9000万円)
に据え置くと発表したとのことです。



顧客要求に合わせた市場戦略が功を奏し、特に年金保険に関する商品が今年後半の
保険料獲得に貢献すると期待されています。

一方、今年1月から4月の保険料収入は、タイ国内の政情不安や経済の停滞に起因する
雇用率低下で団体保険が減少したため良くなかったとのことです。地政学リスクが
確実に顕在化しています。


そこで、東京海上HDは、財政基盤の強化と事業拡大のための資本増強に合意し、
資本を現在の13億バーツ(約39億円)から22億8000万バーツ(約68億4000万円)に増やす
ことを決めたようです。



販売代理店を増やす事業拡大計画では、知識ベースの補強、販売促進、インセンティブ、
専門性開発プログラムなどの活動に注力し、代理店舗数を3100店まで増やす計画を立てた
ようです。


上記の通り、東京海上HDはタイの生保会社に増資を実施しますが、そもそも増資とは、
なんでしょうか。

株式会社が資本金を増やすために新株を発行することが増資です。
つまり、資本金を増強することです。

自己資本とは、株主が払い込んだ資本金や資本準備金、さらには過去に稼いだ利益を
内部にためてきた利益準備金の合計をさします。

これは、会社が万が一のときに備えるための蓄積であり、株主資本とも呼ばれています。

資本金を含んだ自己資本が総資産に対してどのくらいの割合あるかを示すのが
自己資本比率です。

この比率が高ければ高いほど、経営の健全性は高いといえます。
自己資本を強固にし、財務の健全性を高めるために、東京海上はタイ生保会社に資本を
注入したというわけです。



過去、巨額の赤字が伝えられた企業もありましたが、それでも倒産しなかったのは、
自己資本で赤字をカバーができたからです。しかしながら、赤字や損失は、当然の
ことながら自己資本を減少させます。

昨年度の決算では、業績不振で多額の赤字を出し、自己資本比率が過去最低水準に
落ち込んでしまった企業もあります。今すぐ資金が枯渇して事業の継続が難しくなる、
という事態には陥らなくとも、自己資本比率の低下は、金融機関などからの信用減
をもたらします。


そうなると、社債の発行時にも、銀行から融資を受ける際も、経営リスクが高い企業
として、高い金利を求められかねません。


一般企業が事業に挑む際の設備投資は、資金調達ができてこそ実現できます。
資金調達力に黄色信号がともれば、事業活動に大きな影響が出ます。格付け機関や
金融機関からの信用力を高めておくためにも、資本を増強しておくことが、定石です。


つまり、財務基盤を強化し、経営の健全性を高め、企業の信用を維持、向上させる
ことが重要です。


一部、おさらいになりますが、増資のメリット・デメリットは次の通りです。

◆メリット1
 長期資金二―ズ・・・返済義務がないため固定資産や研究開発などに有用

◆メリット2
 株主支援   ・・・株主からの事業支援やブランド力の向上が期待できる

◆メリット3
 財務基盤強化 ・・・自己資本が充実するため財務基盤が安定する

◆メリット4
 信用力向上  ・・・資本金の大きい企業は対外的に信用力が上がる


他方、増資のデメリットとしては、株主の持分割合を大きく変化させます。
経営者自身のシェアが少なくなるということは、経営支配権の減少を意味し、
業務執行上の機動力が弱まる可能性も出てきます。

事業拡大し、更なる売上拡大を目指すためにも、経営支配権を十分に考慮し
成長戦略に合った資本政策が重要となります。



◆デメリット1
 議決権減少  ・・・新規株式の増加は経営者の議決権が減少する

◆デメリット2 
 1株当たり利益の減少・・・株主の増加は株主1人当り利益が希薄する

◆デメリット3 
 税負担の上昇 ・・・資本金の大きさによって課される税金が上昇する



成長過程にある企業や新規事業に資金を必要とする企業は、広く一般の投資家
から事業資金を募集をするか、公募発行増資を行う力があります。
魅力を感じさせる企業には、出資したい投資家はどんどん集まってくるものです。


この点が、企業救済に使われる増資と大きく違います。
傾きかけた企業を救うために資金を出すのは、よほど関係が深いところでしょう。
または、グループ内企業への救済を目的とした、親企業の配慮です。



増資による資金集めと、融資による資金集めでは、会社に与える負担が大きく違います。
融資は、それに対して利子を支払わなければなりませんし、償還期限が来たら、
借りた資金は返済しなければなりません。


増資で集めた資金は、会社の自己資本になるので、会社が自由に使える資金です。
会社が株主に返済する、ということもありません。

アジアでは、経済の成長と、人口増とともに、生命保険市場が発達します。
その需要を確実に補足するための、生命保険会社の財務強化は必須ですね。

今後、日系の保険会社は、アジアの生保会社を買収するとともに、あわせて、既存の
買収会社への増資も活発に行うのではないでしょうか。


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