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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上日動の「損害サービス次世代モデル」です
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東京海上日動の「損害サービス次世代モデル」についてです。


先月、東京海上日動は損害サービス(事故発生時の対応)の業務プロセスに、
顧客のスマートフォンや代理店所有のタブレット(多機能携帯端末)を活用する
「損害サービス次世代モデル」を開発したと発表しました。
今年10月から順次導入するようです。


この「損害サービス次世代モデル」では、顧客向けスマートフォンアプリ
「モバイルエージェント」を通じて様々な機能を提供するとのことです。


たとえば事故に遭った際に、「モバイルエージェント」を通じて東京海上日動に
連絡をすることで、同社はGPSデータを活用し、瞬時に顧客の位置情報、契約情報
を特定でき、また事故の場所を口頭で伝える煩わしさが解消され、最短タップで
レッカー等、ロードサービスの手配が可能となるようです。


このアプリを利用することで、都合の良いタイミングで事故対応状況の確認や
担当者へのメール送信ができ、利便性が飛躍的に向上することも見込んでいます。
そして、事故現場で顧客が撮影した写真を簡単に同社サーバーへ送信することが
できるようになることで、事故担当者が実際の事故現場や車両の画像を見ながら
顧客と会話するようです。


これらのことから、事故や被害状況把握の精度が向上し、事故解決までの時間短縮
の効果を実現、さらなる顧客満足を追求するようです。
(送信される写真が自動的に案件とマッチングする仕組みは、国内の保険業界では
 東京海上日動が初めて導入するものらしいです)



他方、損保ジャパンは切り口は違いますが、『お客様満足度日本一』を標榜し、
Web開発や商品設計を鋭意進めています。あいおいニッセイ同和も顧客満足の
さらなる向上を企図した代理店育成に注力しているようです。


パソコンやスマホを駆使した顧客満足をどこまで追求していくのか。



「顧客満足の追究」が企業にとって最重要課題であることは言うまでもありません。

一方で、この当り前のことが繰り返し言われ続けているのは、それが実現できて
いないことの裏返しでもあります。この顧客満足については、「ビューティフル
カンパニー」(嶋口充輝著、ソフトバンククリエイティブ)で、下記の文章が
ありましたのでご紹介します。


---(以下、p.137-138から引用)---

以前、アメリカのある長老教授との雑談の折、「これまでマーケティングは
いろいろな表現で時代を語ってきたが、結局、顧客が最も大切だと言い続けて
きただけさ」といった言葉に強い印象を受けたことがある。


しかし、こんな簡単なことが今でも経営・マーケティング全体の最重要課題になるのは、
一体なぜなのだろうか。さまざまな理由の中で、特に大きいと思われる原因は、結局、
目先の利潤に目を奪われ、顧客の喜びに向かってもっと正直に対応し続けないから、
といえそうである。


---(以上、引用)---


しかし一方で、保険会社をはじめとして営利企業としては利益を生まなければ
存続できません。利益の追求と顧客満足の実現との関係は、どのように考えれば
よいのでしょうか。


以前、日本経済新聞「経済教室」に掲載された、神戸大学教授・加護野先生が
書かれた論文に、その回答がありました。


---(以下、引用)---

....利益が出ているということは(ステークホルダーへの)支払義務が果たせている
ということを意味する。利益が出ていないということは、この支払い義務が果たせ
ないあるいは果たせなくなりそうだということである。

この意味では利益は重要なのである。

しかし、それは企業の目的ではない。われわれは呼吸をしていないと生きていけないが、
呼吸をするのが人間の目的だろうか。


利益よりも大きな目的とは何か。
ドラッカー自身は「企業の目的は一つしかない。それは顧客の創造である」
(『マネジメント・上』)とはっきりと述べている。この目的しかないかどうかについては
議論の余地はあろう。

しかし利益よりも大切な目的があるのは確かである。不思議なことに、利益よりも大切な
目的があるといい続けた企業家・経営者ほど多くの利益を上げている。利益にとらわれて
しまうと見えなくなってしまうものがあるからだ。


---(以上、引用)---


企業を個人の人間にたとえると、

「利益が出ている状態」とは、「息ができ、食べたいものが食べられる状態」

「顧客満足の実現」とは、「生きている目的の実現」


と考えると、分りやすいかもしれません。顧客満足を追究すると、利益はついてくる。
利益を追求すると、顧客満足は下がっていく。前者を継続的に実現し続けるように、
企業努力を続けることが肝要ですが、今回の東京海上の取組は、その表れでしょうか。


代理店の囲い込みには、代理店手数料などの経済的支援が不可欠ですが、商品を選んで
くれるのは顧客であるわけで、代理店に無視されても顧客から支持される保険会社に
なるための手段が、顧客満足の追求なのかもしれません。



東京海上日動は、上記アプリの開発のほか、事故に関する案内文書(事故受付通知、
保険金支払案内等)を電子化するようです。また、代理店向け機能も2014年1月に
開始するとのこと。代理店所有のタブレットにおける事故対応機能を拡充し、顧客対応
における代理店の付加価値提供力の向上を図るようです。


損保各社、顧客不在の市場競争を回避すべく、儲けた利益を顧客満足アップの投資に
振り向けてもらいたいものです。



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