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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上日動の「タカフル事業」です
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東京海上日動の「タカフル事業」についてです。


東京海上日動は、同社が40%出資するエジプト現地法人のナイル・ジェネラル・タカフル社
(以下「NGT 社」)とナイル・ファミリー・タカフル社(以下「NFT 社」)を子会社化する
ことを決定しました。
東京海上日動は現地の会社と共同で出資し、2008 年10 月にNGT 社・NFT 社を設立しましたが、
エジプトの若年人口・中産階級の増加に伴う中長期的なイスラム式保険(タカフル)ビジネス
の発展を見込み、EKHD 社が保有していた株式を取得し子会社化したのことです。


東京海上グループとしては、1962 年にレバノンで営業を開始した後、インフラプロジェクト等
に参画する日系企業のサポートを中心に同地域における保険事業を展開していました。2000 年
以降は、2001 年にサウジアラビアでイスラム式保険(タカフル事業)の参入、2008年には
上記のNGT 社・NFT社をエジプトに設立する等、イスラム式保険商品の提供を通してローカル
ビジネスへの展開も進めてきました。


現在は、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプトの3 カ国で元受保険事業を展開しており、
今回のエジプト現地法人の子会社化等を通して、経済成長・人口増加が見込まれる同地域での
保険事業の展開を加速するようです。



そこで、今回は、今後、市場の拡大が見込まれる「タカフル」について考えてみたいと思います。




全世界の人口約70億人のうち、約10億2000万人がイスラム教徒であると推定されています。代表的
なイスラム国として、インドネシアやマレーシアなどが挙げられます。


これらの国では、保険の仕組みがイスラム教の規範にそぐわないものであるとして普及の阻害要因
になっていましたが、最近では、イスラム教の規範に則った保険(タカフル)が急速に普及し
始めています。イスラム教にはシャリーアと呼ばれる独自の規範があります。


「保険」はこの規範で禁じられている過剰なリスクや不確実性の内包、利子の収受などに該当する
として、1985年にイスラム法学者評議会により規範に反するとされました。これに対して、従来型
の保険をイスラム教の規範に順ずる形に作りかえた仕組みが「タカフル」です。



このタカフルにはいくつかのモデルがあり、それぞれ若干の違いがあるそうです。
(代表的なものとしては、バーレーンやマレーシアなどで採用されている、タカフルのハイブリッド
 ・モデルがあります)


タカフルの根本的な考え方は、相互扶助です。


そのためタカフル・ファンド(加入者基金)を事業者運営部分である株主勘定から分離する必要が
あります。その仕組みは相互会社と類似していますが、タカフル事業者のほとんどは株式会社として
運営されているそうです。


タカフル加入者は保険料に該当する「掛金」を支払う契約を結びます。

掛金は保険金の支払い原資としてタカフル・ファンドにプールされます。
そのうち、事前に約定された定率が事業手数料として、株主勘定へと振替えられます。
加えて、株主勘定には、タカフル・ファンドによる引受利益と運用利益の定率が配分されます。


そして事故発生時には、「喜捨」の位置づけで、保険金に該当する資金がタカフル・ファンドから
支払われ、また、契約期間中に事故が起きなかった場合には、当該加入者に引受利益・運用利益の
一部が分配金の形で支払われる仕組みとなっています。



タカフル・ファンドに集められた資金は、イスラム教の規範に従って、イスラム債や株式、リース
などのイスラム金融手法によって運用されます。(イスラム教で禁止されている豚肉やアルコール、
賭博、ポルノなどの事業への投資は避けなければならないようです)


タカフル・ファンドは株主勘定と分離されているため、引受収支が赤字になってしまった場合
(タカフル・ファンド部分の勘定が赤字になってしまった場合)に、タカフル事業者の資本で
埋め合わせることはできないようです。


その代わりとして、株主勘定から無利子の貸付をおこない流動性を確保するそうです。
この融資に対しては、タカフル・ファンドに生じる剰余金から返済されることになるそうです。


このように、従来型の保険とタカフルとの違いは、契約者側から見ると「分配金の有無」です。
また、事業者の立場で見ても、勘定の分離、シャリーア委員会の設置、シャリーア適格である
ものに投資運用先が限定される点であり、両者間で大きな相違点はありません。



言葉自体、あまり良く耳にしませんが、この「タカフル」は、保険の仕組みをイスラム諸国に
浸透させ、新たなマーケットを創造していくために有効な手段とされて、大きな期待が寄せされ
ています。このタカフルマーケットはさらに大きく発展していくものと考えられます。


AIGなどのようなグローバルプレーヤーが、一足先にこのマーケットに仕掛けていますが、
東京海上をはじめとする日本の損保会社も果敢にこのマーケットに攻め込んでもらいたいです。
その足がかりとして、東京海上日動は「現地法人の子会社化」を選択したのはないでしょうか。


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