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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上の「新商品戦略」です
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東京海上の「新商品戦略」についてです。


最近の東京海上グループの新商品といえば、東京海上日動社の「ちょいのり保険」、
東京海上日動あんしん生命の「メディカルKIT R」と、他の生損保が開発して
いない、開発しようとしなかったものです。


前者の商品は、自動車保険のアンバインドによって、自動車保険を細切れにし、
若者の自動車ニーズを取り組む戦略です。他方、後者の商品は、保険事故がない場合
支払った保険料を返戻するという、保険商品と金融商品の限界にチャレンジした
商品です。


経営学の大家であるマイケル・E・ポーター氏は、事業における「競争優位性」の
確保に必要な3つの基本戦略として、「集中化」「コストのリーダーシップ」「差別化」
をあげています。

特に、競合他社にないコア能力をテコに、新しい価値を生む事業モデル構築の重要性
を唱えています。 東京海上グループはこのコア能力を武器に、他社との差別化を図って
いるのは一目瞭然ではないでしょうか。


多くの企業は、商品・サービスの差別化による価値づくりを目指していますが、
現実にはなかなかうまくいきません。

保険商品のライフサイクルという観点から商品の差別化をとらえた場合、ある一つの
基本原則があります。


まず、新商品が導入される「導入期」には、“ハード的価値”で差をつけていくこと
が必要とされています。

“ハード的価値”とは、“品質”、“性能”、“機能”の違いで競争するということ
であり、一般的に、「先発企業としての利潤を得る」というのは、このあたりです。


次に、多くの企業が参入し、市場規模が大きくなる「成長期」を迎えます。
この時期には、“ソフト的価値”で差をつけろといわれています。

“ソフト的価値”とは、“デザイン”、“パッケージ”、“ネーミング”による差別化
です。自動車保険で考えてみると、中身は同じですが、ネーミングだけが違うという
のがほとんどではないでしょうか。


ところが、商品が「成熟期」に入ると、ハード的価値+ソフト的価値でも差別化する
ことは難しく、そこに新たな価値を創り出していく必要がでてきます。


“情報的価値”すなわち“意味的価値”による差別化です。


つまり、“生活を豊かにする情報が提供できる”ということで差をつけることが重要性
を持ってくるとされています。具体的には、顧客から見て、生活が豊かになる情報を、
その商品やサービスは持っているか、ということです。


例えば、保険商品からは離れますが、「電子レンジ」をとりあげてみると、当初は冷たい
ご飯を温めたり、お酒を温めたりといった単純な機能で売れていました。その後、多種
多様な商品が出ることにより、商品の品揃えも増え、他社との違いを示すため、様々な
料理メニューに応じた設定がされ、料理が不得意な主婦でもおいしい料理ができるソフト
的価値が重要視されました。

今では、個々のユーザーニーズに応じ、単なる“おかず”としてのメニューづくりだけ
でなく、手作りの前段階をレンジで行う、あるいは、自分なりのメニューづくりを
サポートしてくれる機能がついている商品など、生活をより豊かにする情報が提供されて
います。


差をつけるということは、非常に難しいことですが、情報的価値を持たせるのにハード的
発想だけでは限界があります。


保険会社として、顧客の生活を豊かにする情報を提供するには、保険メーカーの立場を
離れて、顧客が商品を買う代理店の店舗に視察に行ったり、そこに日々訪問している
営業社員の営業所に行ったりすることが重要になってくるのではないでしょうか。


そういった現場でのサービスや演出を含めて、差別化情報というものを考えていかなけれ
ばなりません。例えば、傷害保険であれば、顧客が傷害保険を欲しくなるように、保険
代理店がどう演出してくれているか、そこに生活を豊かにする情報が付け加えられているか
どうか、ということも含めて考えていく必要があると思います。


一般的には、新商品がないと売上は伸びない、シェア競争に負けると言われています。


新商品を多く出している企業は、売上成長に貢献しているという仮説が浸透しています。
東京海上日動の場合、今期は、明治安田生命との提携が保険料収入に寄与していますが、
新型超保険など他社が持っていない商品の売り上げも増収に一定の貢献をしているのでは
ないでしょうか。


マーケティングの世界では、新商品売上ウェイトが高ければ高いほど、営業競争力は強く、
売上が上がるという定説があります。

保険業界で、それを強く提唱するには情報量や定量分析結果等の根拠が不足していますが、
耐久消費財の世界などでは、明らかに新商品の構成比を注目しながらやった方がよいという
結果が出ているようです。

(消費財の世界では、耐久消費財に比べて「新商品が必ずしも決め手になっていない」
 ということもあるようですが・・・)


現場至上主義で、顧客の声に耳を傾けて、ソフトとハード、そして情報価値の充実の観点
からスピード感を持って商品開発を進めることが、保険会社の商品戦略の要諦なのでは
ないでしょうか。

この点から言っても、東京海上グループ傘下企業の商品力は他社を大きく上回っていると
いえるかもしれません。



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