■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「日経4誌の損保関連ニュースをMBA的思考で斬る!」(サンプル)
「東京海上」解体新書 (サンプル)

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

__________________________________
  今日のテーマは 東京海上日動の「太平洋災害リスクファイナンス」です
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

東京海上日動の「太平洋災害リスクファイナンスパイロットプログラム」についてです。


東京海上日動は、2013 年1 月、防災・減災分野における国際貢献の取り組みとして、
世界銀行と日本国政府が協力して実施する「太平洋災害リスクファイナンスパイロット
プログラム(Pacific Disaster Risk Financing Pilot Program)」に参加したようです。

このプログラムには、同社のほか三井住友海上、損保ジャパンも参画しています。


東京海上日動は、自然災害デリバティブの引受を通じて、太平洋島嶼国における自然災害
に対する取り組みを支援し、持続可能な社会づくりに貢献するという理念を持っていますが、
今回のプログラムはその理念に合致するものなので、肝入りのプロジェクトになっている
のではないでしょうか。


太平洋災害リスクファイナンスパイロットプログラム創設の背景としては、日本国政府が、
2012 年5 月「日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋・島サミット)」において、
日本による防災分野での国際協力の一環として「太平洋島嶼国における自然災害支援として
保険制度を創設する」ことを表明したことが契機となり、政府や世界銀行、民間保険会社
と連携して、本プログラムを創設するに至ったというものです。


当該プログラムは、官民パートナーシップ(PPP:Public Private Partnership)による
太平洋島嶼国の防災・減災への支援を目的とした「自然災害デリバティブ契約」で構成
されているとのことです。


なお、このプログラムの対象国は、バヌアツ、サモア、トンガ、ソロモン諸島、マーシャル
諸島の5カ国とされています。


引き受けスキームの概要は次のとおりです。

1.スキームの概要

本スキームは、上記5カ国⇔国際開発協会による「デリバティブ契約」を結んでいるようです。

具体的には、各国が大規模自然災害(地震・津波、熱帯低気圧)に対するリスクヘッジとして、
世界銀行グループの国際開発協会と「自然災害デリバティブ」契約を締結するというものです。

そして、国際開発協会は、民間保険会社 4 社との間で上記,汎云魴錣離妊螢丱謄ブ契約を
締結しています。


ここでいう4社とは、東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパンとスイスリーの4社です。


2.デリバティブの引受条件

・責任期間    : 2013 年1 月17 日〜2013 年10 月31 日
・想定元本(総額): 44.875 百万USD(約40 億円)
・トリガー    : 各島嶼国が自然災害(地震・津波、熱帯低気圧)によって、想定(※2)を
           上回る経済損失が生じた場合、保険会社は、予め設定した補償金を対象国
           の国政府に支払う。

(※2)対象国ごとに、設定条件は異なるようです。


事の詳細は、世界銀行東京事務所のHPに記事が掲載されていますので、以下URLを参照して
ください。
http://www.worldbank.org/ja/news/2013/01/18/5-pacific-island-nations-to-be-insured-against-natural-disasters



さて、この世界銀行ですが、新聞記事などではよく目にする金融機関ではありますが、実際の
存在意義や設立目的はどのようなものなのでしょうか。
また、そこで働く人たちはどのような人たちなのでしょうか。どのようなスペシャリストで構成
されているのでしょうか。日ごろ、考えたことがない「世界銀行」について深堀してみます。


●世界銀行とは・・・

世界銀行は、貧困のない世界を目指して、開発途上国の経済・社会の発展、生活水準の向上、
持続的成長を支援するため、資金協力、知的支援などを提供する国際開発金融機関です。


開発のためのインフラ、保健・教育、気候変動などの地球規模課題、ジェンダー、ガバナンスなど、
国際協力の幅広い分野をカバーしています。各分野の専門知識を兼ね備えたスタッフが世界120か国
以上に駐在し、途上国それぞれのニーズに応じて支援を提供しているそうです。



●世界銀行の成り立ち

第二次世界大戦末期の1944年、米国ニューハンプシャー州ブレトンウッズに連合国代表が集まり、
戦後の世界経済の安定と復興について協議が行われ、この時、国際復興開発銀行と国際通貨基金
(IMF)を創設する協定が起草され、これらの協定は45年に発効し、世界銀行とIMFが設立された
そうです。創立約70年の金融機関ですから、大手損保会社のほうが創業年数は長いですね。




この世界銀行の業務は、上述したとおり、多岐にわたっています。その幅広い分野をどのような
人材で運営しているでしょうか。

世界銀行の業務には、途上国の開発問題に関連する特定分野において、大学院レベルでの学業・研究や、
実務経験を通して得た高度な専門知識・技術が必要とされているようです。

また、開発問題に関する幅広い知識や政策レベルでの国際的な職務経験、もしくは、民間企業での職
務経験も、世界銀行に新しい経験や知識をもたらすという点で高く評価されているとのこと。

そして、国際的な環境やチームで働くためのコミュニケーション能力を持っていることが重要で、
英語に加え、アラビア語、中国語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語やスペイン語も、仕事に
応じて必要とされることがあるようですので、正しく語学堪能でないと採用されないようです。


一般的に、世界銀行のスタッフには次のような資質・能力が求められるようです。


・大学院レベルでの学位(開発に関連する学術分野、最低でも修士号が必要)
・高度な専門知識・技術
・政策分析・対話能力
・開発問題に対する幅広い知識・情熱
・関連分野における実務経験
・強い知的好奇心
・優れた戦略的思考・行動力
・強いリーダーシップ
・チームワーク
・顧客志向
・高度なコミュニケーション能力
・柔軟性・多様性


そして、世銀スタッフに求められる資質で最も重視されるものは「高度な専門知識と技術」だそうです。

世銀スタッフには自分の専門分野を確立し、さらにその専門を追求していくことが期待されているので
世界銀行が「国際開発のスペシャリスト集団」と見なされている所以はこの点あるような気がします。


なお、途上国の開発における課題はさまざまな分野に亘るため、世銀スタッフの専門分野と仕事の内容
も多種多様です。一例ですが、「スペシャリスト」の分野は次のとおりです。


●金融・民間セクター開発スペシャリスト
 専攻:経済学、経営学(MBA)、金融
 仕事内容:途上国の金融・民間セクター開発に関する研究部門に所属し、国際・国内金融に関する
 問題について途上国政府にアドバイスを行う。

●アフリカ経済スペシャリスト
 専攻:マクロ経済学、ミクロ経済学
 仕事内容:アフリカ局に所属する主席エコノミスト。アフリカ各国の経済状況を分析し、アフリカ
 地域全体・および各国に対する世銀の開発戦略策定を主導する。

●農業・地域開発スペシャリスト
 専攻:経済学・経営学(MBA)、農学
 仕事内容: 農業・地域開発局のマネジャー。地方開発、農業開発、自然資源管理を目的として
 世界規模で展開するプログラムを指揮する。

●HIV/エイズ対策スペシャリスト
 専攻:医学(免疫学)、公衆衛生
 仕事内容:HIV/エイズの撲滅を目的として、世界規模で展開するプログラムを指揮する。

●ガバナンス(政府の統治能力全般)・公共財政管理スペシャリスト
 専攻:行政学、政治学、会計学、法学、公共経済学
 仕事内容:公共セクター・ガバナンス・グループ局長として、途上国の公務員制度、税制、
      政府の歳出管理、地方分権、法制度、汚職防止などの改革に関する分析やプロ
      ジェクトの運営を行う。

●カーボン・ファイナンス・スペシャリスト
 専攻:資源経済学、ファイナンス
 仕事内容: 国際金融公社のカーボン・ファイナンス・グループ責任者。途上国で行われる温暖化ガス
       の排出削減プロジェクトから得られる排出権をクレジット(信用貸し)という形で購入し、
       出資者(先進国の企業等)に対して排出権を販売するため金融商品の開発・運用を行う。

●教育スペシャリスト
 専攻:教育経済学、教育政策、教育行政
 仕事内容:人間開発部門所属、教育担当局長として、教育に対する途上国の家計支出や、途上国
      の教育と貧困・経済開発の関連性に関する研究するチームの統括する。

●ジェンダー問題(社会的性差別の問題)スペシャリスト
 専攻:社会心理学、社会学
 仕事内容:貧困削減・経済管理部門のジェンダーと開発担当局長として、ジェンダー問題が
      開発に及ぼす影響に関する研究を統括する。


●脆弱国家の開発、紛争後の復興(ポスト・コンフリクト)支援スペシャリスト
 専攻:経済学、経営学(MBA)、社会学、人類学
 仕事内容:アフリカ、中近東、南アジア地域などにおける脆弱国家、および紛争によって影響を
      受けた国家に対する開発、復興支援のプロジェクトを計画、監督する。

●社会保障制度スペシャリスト
 専攻:労働経済学
 仕事内容:人間開発部門所属、児童労働問題、年金などの社会保険制度、障害者支援などの
      政策に関する研究などを行う社会保護・労働担当部署を主導する。
●国際貿易スペシャリスト
 専攻:マクロ経済学
 仕事内容:貧困削減・経済管理部門所属、貿易担当局長として、世界貿易機関(WTO)、貿易政策
      と国家間の競争などに関する研究を行う。

●防災・災害復旧スペシャリスト
 専攻:土木工学
 仕事内容:途上国における自然災害軽減・復旧を目的とした基金のマネジャーとして、世銀の
      自然災害予防プログラムの実施に対し戦略面・政策面でのアドバイスを行う。

●交通スペシャリスト
 専攻:土木工学、行政学、交通経済学
 仕事内容:エネルギー・交通・水開発部門の交通担当マネジャー。港湾開発計画などの立案、
      および交通行政・管理に関する経済、財務、組織面の分析を行う。

●財務管理スペシャリスト
 専攻:経済学、金融
 仕事内容:世銀グループの財務面での健全性・安定性の確保全般に責任を持つ。
      また、新しい金融商品の開発や、中進国への融資条件の改革などを指揮する。



一部ではありますが、このような各分野のスペシャリストで構成されている世界銀行が、開発途上の
国々のサポートを目的として、各種施策を、民間企業と協力し講じているわけです。



損害保険会社には、小国家が晒されている危険を保険技術で助けることができますが、それを
国家単位で実現するには無数のハードルがあるところを世銀の力を借りて、実現しています。


東京海上グループには、リスクコンサルティング会社がありますが、同社を通じて、世界銀行の
プロジェクトをはじめとし、地域、社会への貢献を実現してもらいたいです。それが、損保業界
の地位向上や各社のブランド醸成につながるのではないでしょうか。



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

「日経4誌の損保関連ニュースをMBA的思考で斬る!」では、損保会社特集が終了したこととに伴い、今週から1週間分の業界ニュースをピックアップした「まるごと損保業界ニュース」をはじめました。
多忙を極めて新聞・雑誌等を読む時間のない方にオススメします。