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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上日動の「人事システム」です
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東京海上の人事システムについてです。

東京海上日動が長年にわたり、常に業界をリードしてきた原動力は、「お客様の信頼」
を原点におきながらあらゆる活動をしてきたことで生まれた「社会的な信用力」であり、
また、それを築き上げてきた「人材の厚み」にあると考えられています。


形のある製品を扱わず、製造設備等を持たない損害保険会社にとって損害保険事業に
あっては、「人材」こそが最も貴重な経営資源であるということは、各社共通ですが、
とりわけ一人ひとりの社員が、「情熱」と「責任」と「専門性」を持って仕事に取り
組み、顧客や保険代理店との良好なコミュニケーションを図る力、「人間力」がその
生命線なのではないでしょうか。

さて、その「人間力」を醸成するのは、人事評価方法であり、人事考課制度です。


東京海上日動の人事考課制度は、社員の人材育成を第一の目的とした「育成型人事考課
制度」といわれています。社員のコンピテンシーを客観的に観察・分析し、OJTや適性
に合った職場への配属などを通じて、人材育成に結び付けていくことを目的としている
そうです。

原則、年4回、直属の上司との面接を実施する「役割チャレンジ制度」を通じ、組織に
おいて期待される役割や仕事の目標・課題、コンピテンシーの向上、今後のキャリア
展望などについてじっくりと話し合い、またそれと同時に、異動希望についてのヒア
リングも行うとのことです。


前述のとおり、顧客の信頼をあらゆる事業活動の原点におき、『安心と安全』の提供
を通じて、豊かで快適な社会生活と経済の発展に貢献することを理念に掲げ、収益性・
成長性・健全性において、国際的にも高い実力を発揮する損保業界の雄的存在の東京
海上は、時代変化に対応した優れた人材を生み出すために、社員のポテンシャルの開花
を支援するために、日動との合併時に、ホストベースだった旧来の人事システムの
全面再構築に挑みました。


2003年1月、新人事システム構築のパートナー選びを進め、数社の提案を吟味した結果、
「PeopleSoft」をベースにした開発を提案したヒューレッドパッカード(HP)を指名した
とのことです。

当時のシステム戦略を主管した東京海上日動システムズの責任者は次のように語っています。


「人事業務のスケジュール上、新制度のスタートは2004年7月が最適でかつ必須でした。
 さらに同年10月には東京海上と日動火災の合併が控えていました。残された期間は1年強、
 人事システムのほとんど全てを抜本的に再構築するわけですから、まさに時間との戦い
 でした。その中で、HPはプレゼン段階から制度や業務の主旨をよく理解して実装経験豊かな
 エンジニアを動員していましたし、開発〜運用までをワンストップでフォローする体制が
 できていました」


東京海上日動では毎年5000人規模で行われる定期異動の場合、要員を次々と数珠繋ぎ状に
異動させるような「玉突き人事」ではなく、一人一人の希望や実績、適性やキャリアプラン等
と会社全体の戦略を摺り合わせ、1 to 1で配置していくそうです。


このようなきめ細かい対応を実現させるためには、データベースの徹底した正規化に基づいて、
自在な切り口で活用することができる柔軟なシステム構造が求められます。


さらには、東京海上と日動火災両社で過去別々に蓄積された形の異なる保有情報を新システム
に継承することも必要だったそうです。


会社組織やシステムが新しくなっても、社員の属性情報や異動履歴といったデータを移行投入
して初めてシステムが利用できる状態になります。いわば『データの引越し』ですが、新シス
テムに合わせて、プラットフォームを越え整合性を維持して過去のデータを引越す作業は、
新規アプリケーションの開発とは違った難しさがあります。

(損保ジャパンや日本興亜の合併も似たような苦しみが出てくるのでしょう)


このようなことにもHPは大きな力を発揮し、システムテスト段階でアプリケーションの不具合
と移行データの不具合が混在する中、入念な解析による切り分けと移行テストを繰り返しながら
アプリケーションと移行データの品質の両方を短期間で高めていき、本番移行を乗り切ることに
成功したそうです。


また、人事業務には、春の新規採用や定期異動、年末調整、人事考課など、年間数次にわたる
ピークが存在しますが、期ごとにパターンを分析し、全国の支店・支社からのトラフィック量
やシステムバックボーンのキャパシティを設定したそうです。

HPは、性能検証に専用のチームと環境を配置し、これらの各ピークに対応したシナリオで性能
テストを行い、アプリケーションも含めたチューニングを実施し、困難をすべて乗り越えたそう
です。


「人事」は、会社の目的を実現させるための「人事制度」とその制度を運用するための「イン
フラ」が要となりますが、後者は前述したとおり、「PeopleSoft」をベースにした開発を実施
しました。

前者の制度は、企業秘密の部分でありますので、世の中に広くアナウンスされることはありま
せんが、年次の若い社員を育成する制度として、SENPAI(せんぱい)制度、通称「SP制度」が
あります。


全国型従業員・地域型従業員に関わらず、同じ職場の先輩社員が職場指導員(SP)として、原則
1年間、新入社員の指導・相談にあたる制度です。社会人としてのビジネスマナーや仕事の進め方
について、先輩社員から直接支援を受けることができる制度です。

単に答えを教えるだけにとどまらず、時にはヒントを与えて新入社員が自ら考え、行動し、自分
自身で答えを見つけ出すことができるよう重点的に指導を行うようです。SPとして指導にあたる
のは1年間だけですが、2年目以降も良き先輩後輩として関係が続き、先輩の教えを後輩が受け
継いでいく、という良き文化として東京海上日動に定着している制度です。


「人材の厚み」の裏側には、やはり、地道な取り組みが存在するのでしょう・・・。


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