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損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上日動の「社内カンパニー制度」です
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東京海上日動の「社内カンパニー制度」についてです。

東京海上日動は、2004年の東京海上と日動火災の合併時に、社内カンパニー
制度を創設しました。


社内カンパニーとは、企業内の事業部門を独立採算方式で一会社のように位置づけて
運営する事業部門のことであり、その仕組みを「社内カンパニー制」、あるいは「社内
分社制度」と呼んでいます。


社内カンパニー制は持株会社のような経営管理を、内部組織のままでおこなうための
仕組みです。形式的には事業部に類似していますが、その目的は子会社に近く、事業部制
の場合よりもさらに大きな権限委譲が行われるケースが多いようです。


企業は事業分野別に人材・資本などの経営資源を会社本体からそれぞれのカンパニーに
配分します。資本配分は管理会計の範囲で仮想的に行われ、各カンパニーの責任者は
「プレジデント」と呼ばれ、担当する領域内における全ての権限と責任を委譲されます。
東京海上日動の場合、「●●カンパニー総括担当」と呼ばれています。



また、このプレジデントは損益だけでなく資産効率についても責任を負うものとされています。
従来から取り入れられた事業部制(事業カテゴリー制度)を発展・移行して、社内カンパニー
制度を導入する場合は、損益計算書を改善することにとらわれがちな事業部に対し、それぞれ
のカンパニーがバランスシートを圧縮し、キャッシュフローを改善することにも目を向ける
ことで、全社内での各事業の位置づけを明確にでき、他事業部門との比較が可能となるからです。

子会社の連結決算のように事業部門ごとの垂直連結がおこなえ、マネジメントが個別の事業に
対して集中や撤退の決定もより容易となりますので、事業部門に独立性が生まれ、同じ会社内
であっても、明確な経営体質や企業カラーを打ち出せることがメリットです。

その一方で、独立性が強すぎるため全社的な統一が図りにくく、資産が分散されるため企業全体
の資本効率が損なわれやすいというデメリットについても言及されるケースがあります。


日本では、1994年にソニーが初めて社内カンパニーを導入しましたが、具体的には、責任の
明確化と市場対応の強化を目的に、製品ごとに細分化されていた9事業本部と8営業本部を、
商品群別に8つの組織に集約していました。

(しかしながら、そのソニーは社内カンパニー制度を組織のスリム化、意志決定の迅速化を
 目的に廃止しましたが・・・)


社内カンパニー制移行に伴い、人事制度や賃金設計なども、それぞれのカンパニーの事業内容に
即応した体系に改定するケースが多いようです。たとえば総合電機の東芝では、賃金・勤務に
関する処遇制度の見直しを行い、全社共通の処遇制度とカンパニー別の処遇制度の2階建て方式
を採用しています。資格制度や賃金の基礎部分、退職金手当などは全社共通(1階部分)ですが、
カンパニー別とする処遇制度(2階部分)は、そのカンパニーの職種に応じた水準や支給ランク
を設定し、インセンティブ手当などの仕組みも導入できるように改めたそうです。


しかし、カンパニーへの大幅な権限委譲の結果、本社の弱体化や機能低下などの弊害を指摘する
声が上がってきました。また、カンパニー個別の最適と企業全体の最適の双方を追求した結果、
利害対立が生じて、どちらも中途半端に終わるケースも目立っています。


東京海上日動は、「PCD別社内カンパニー制」を導入しています。

合併当初、合併による規模のメリットを活用し、事業効率を高めるとともに、各事業分野において、
東京海上および日動社のそれぞれの特色・強みを最大限発揮することを追求するため、次のとおり
3つの社内カンパニー制を採用しました。


「パーソナル(地域営業部門)・P」
 パ ー ソ ナ ル ・ P は、各地域の地場企業から個人の顧客に至るまで、当該地域に根ざした
 営業を行う体制をさしています。


「コマーシャル(企業営業部門)・C」
 コマーシャル・Cは、主として法人マーケットにおける個別かつ多様なお客様のニーズに対応
 する営業体制をさしています。


「ディーラー(自動車メーカー・ディーラー営業部門)・D」
 デ ィ ー ラ ー ・ Dは、主として自動車メーカーや系列の販売店(ディーラー)の顧客の
 ニーズに対応する営業体制をさしています。




各社内カンパニーには、総括責任者を配置し、その権限と責任の下、商品の開発から販売まで
一貫した体制を構築し、他社の追随を許さない専門性の向上を図り、それぞれのマーケット
ニーズに、きめ細かく対応していくことを予定していたようですが、社内カンパニー制導入から
8年以上経過した現在、当時企図した効果を発揮できてはいないように思えます。


各カンパニーの総括者は常務以上の役員が務めているようですが、他損保にはないであろう社内
カンパニー制の効果を追求することはできるのでしょうか。


ディスクロージャーでは、以下の4名が総括者として名を連ねていますが、2004年の日動社
との合併時に取り入れた制度だけに、後戻りは難しいのでしょう。。。

佐野常務 コマーシャルカンパニー総括
石原常務 ディーラーカンパニー総括
上月専務 パーソナルカンパニー総括
財部常務 副総括(日動社出身)



生みの苦しみはどんなことにも伴うものです。東京海上日動には、ぜひ、新しいことへの挑戦
と、失敗の経験を生かしたイノベーションの実現に向けて邁進してもらいたいですね。


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