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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上の「社外取締役」です
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東京海上の「社外取締役」についてです。


法務省の法制審議会の会社法制部会が検討している会社法改正に関する要綱原案が
明らかになりました。昨年12月に示した中間試案に盛り込んだ大企業への社外取締役
の起用義務付けを見送ったほか、親会社の株主が子会社の取締役の責任を追及できる
ようにする「多重代表訴訟制度」の導入を盛り込んだというものです。


社外取締役の設置をめぐっては、オリンパスや大王製紙の不祥事を受け、経営の
透明性を確保するために法制審が「監査役会設置会社で会社法上の大会社(資本金
5億円以上または負債200億円以上)」か「有価証券報告書の提出義務のある企業」
に義務付ける案を検討していました


しかし、経済界は「弊害が大きい」などと強く反発し、また経団連は「社外取締役
の義務付けを一律に導入することには合理性がない」などとする意見書を法制審に
提出したため、原案はこうした批判に配慮したものとなりました。


具体的内容としては、子会社の不正を親会社の株主が監視するために多重代表訴訟
制度の創設も明記しました。制度が乱用されないように、訴えを起こせる株主は
「親会社の発行済み株式を1%以上持つ」ことなどが必要になりますが、訴える
ことができる相手も「親会社の総資産額の5分の1以上を持つ子会社の役員」に
制限されました。

さて、このような法制度をめぐった曲折はありますが、経営のガバナンス強化の
観点から社外取締役の存在は貴重です。

役員になったとしても、会社利益を追求する姿勢やその成果・報酬として上位役員
への昇格などのインセンティブが働くことで、不祥事性のある事象に気づかない、
または気づこうとしない風土が生まれてしまいますので、防止策として社外取締役
の設置が必要という考えられるわけです。


それでは、東京海上ホールディングはどうなっているのでしょうか。
次の2名の社外取締役を起用しています。


●畔柳 信雄氏(くろやなぎ のぶお)

(プロフィール)
日本の銀行家。三菱東京UFJ銀行相談役。日本テニス協会会長も兼務。
過去は、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長、池田泉州ホールディングス取締役
も務めていました。

旧東京三菱銀行時代のシステム統合担当取締役だったこともあって、ITに強いと
云われ、MITに留学時には邦人との交流を断ち、米国人らとの人脈を築いたとされて
います。



●國廣 正(くにひろ ただし)

(プロフィール)
東京大学法学部卒業後、1986年に弁護士登録。86年から90年まで、
 那須弘平弁護士(現最高裁判事)の事務所に勤務し、訴訟事件を中心に業務を行う。
 90年から92年にかけて渡米しニューヨークの法律事務所で研修。帰国後、国際
 業務を専門に扱う法律事務所の勤務を経て94年1月に國廣法律事務所を開設。

 経歴は次のとおりです。
 1999年〜2000年 第二東京弁護士会 民事介入暴力被害者救済センター副委員長
 2004年4月〜 内閣府顧問(法令遵守対応室法令顧問)
 2006年6月〜 積水化学工業(株)社外監査役
 2007年3月〜 内閣官房顧問(内閣総務官室法令遵守顧問)
 2007年6月〜 東京海上日動火災保険(株)社外取締役
 2009年12月〜 消費者庁顧問(法令遵守調査室法令顧問)
 2012年6月〜 三菱商事(株)社外監査役



日本産業における最大グループである三菱に顔のきく畔柳氏と、法曹界で知名度抜群、
かつ政府関係者との人脈もある國廣氏が社外取締役である以上、東京海上ホールディング
のガバナンスは相当強化されるのではないでしょうか。


さて、この社外取締役はどのような目的で設置されているのでしょうか。

解説書では次のとおりの説明があります。


「取締役会の監督機能強化を目的として、会社の最高権限者である代表取締役などと
 直接の利害関係のない独立した有識者や経営者などから選任される取締役です。」

「会社法第2条第15号において、社外取締役の定義が定められています。社外取締役
 とは、株式会社の取締役であって、当該会社またはその子会社の業務執行取締役
 もしくは執行役または支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該会社または
 その子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人となった
 ことのないものと定められており、旧商法における定義が引き継がれています。」


従来から、代表取締役を中心とした業務執行機関に対する監督・監査機能を強化するため、
社外監査役の制度化をはじめ、監査役制度の改正が行われてきましたが、代表取締役が
実質的に取締役や監査役を選任しているケースが少なくなく(損保でも社長の息のかかった
人が役員に抜擢されている事実があるだけに・・・)、代表取締役に対する監督・監査機能
に限界がありました。そこで、平成14年改正商法により、業務執行機関に対する監督機能を
強化するために、社外取締役を導入する会社については、米国型コーポレートガバナンス
といわれる委員会等設置会社(会社法では委員会設置会社という)を選択することができる
ようになりました。

このような制度改革に伴い、社外役員(社外取締役および社外監査役)の業務執行者から
独立した立場での監督機能に対する期待が高まっていました。しかし、旧商法では、
社外取締役等が業務執行者から独立した立場での監督機能をどのように果たしてきたのか、
といった情報についての開示がなされていませんでした。

株主等の、社外役員に関する情報開示の要望に応えるため、会社法では、社外取締役等の
独立性に関する判断材料の提供とともに、社外取締役等に期待されている監督機能の評価
に資する情報の開示が大幅に強化されています。


具体的には、社外役員の選任時における「株主総会参考書類」での情報提供と、選任後の
社外役員の独立性と実際の活動状況などを「事業報告」で開示しなければなりません。


このように、社外取締役を設置している場合には、代表取締役などの業務執行者からの
独立性が明確に判断できる情報と、独立した立場からの監督機能をどのように果たしたのか
判断できるように、その実際の活動状況を開示することが求められています。


こうした社外役員に関する情報開示の強化は、社外取締役にとっても、株主等から期待
されている役割を十分に果たすことを、強く動機づけられるものと考えられます。


以上の観点から、東京海上ホールディングの社外取締役2名のキャリアを再確認すると、
「適任」という言葉以外見当たらないのではないでしょうか。


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