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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上日動の明治安田生命との提携 です
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東京海上日動の「明治安田生命との提携」についてです。

東京海上グループは11月30日に「東京海上グループ 2011年度事業計画の進捗状況」
ということでIRを実施しています。

(動画はこちら)
http://www.net-ir.ne.jp/e-pre/87661111/wb/index.html

11年度事業計画の中で以下URLのファイルp.9で、明治安田生命との提携について
簡単に触れています。
http://ir.tokiomarinehd.com/ja/IRPresentation/2011/IndexContent/05/IndexContent/IndexLink/pdf1/FY2011%20Interim%20IR%20Presentation.pdf


明治安田生命との提携により、同社の全国約1,000拠点において、営業職員約30,000名を
通じて東京海上日動社の損保商品を販売することになります。一方、既存提携損保であった
日本興亜損保はどうなるのでしょうか。また、東京海上の狙いはどこにあるのでしょうか。

(参考 47NEWSのニュース記事からの転載です)
『明治安田、東京海上と提携 営業職員が損保商品販売』>

 明治安田生命保険は24日、東京海上日動火災保険と損害保険商品の販売で提携すると
 発表した。東京海上から自動車保険など保険商品の供給を受け、2011年10月を
 めどに営業職員を通じて全国で販売を始める。

 明治安田はすでに日本興亜損害保険の商品を取り扱っており、同社商品の販売は継続。
 東京海上も新たに加えて顧客に幅広い損保商品を提供し、生保の契約者数の増加や維持
 にもつなげたい考えだ。今後、明治安田が東京海上に生保商品を供給することも検討する。
 明治安田が販売を始めるのは、東京海上の個人向けの自動車保険と傷害保険、火災保険。
 東京海上は明治安田の約3万人の営業職員を販売網に加えることで、販売体制を強化する。



日本興亜保険グループは、明治安田生命に対して「そんぽ24自動車保険」の商品提供を
行っています。また、平成16年1月からの損保業務提携により、損害保険商品の取扱いを
開始し、営業職員等約3万名の損保資格者を通じて販売を行っています。

個人のお客様を中心に、当社の主力商品である自動車保険「クルマックス」やすまいの
総合保険「フルハウス」、くらしの安心保険「守まもっ太郎」(明治安田生命専用商品)
などが販売されており、販売提携開始1年で取扱件数は約45万件となる実績もあります。

それ以降も、明治安田生命での損害保険販売力向上の為の支援等を実施し、両者で連携を
とりながらお客様満足度の向上を図るとともに、介護関連分野におけるサービスの提供も
共同で行っています。

こんな関係であった明治安田生命と日本興亜損保の間に、東京海上日動社が割ってはいる
のですから、日本興亜へのハレーションしかり、東京海上日動社は、相当な対価を明治
安田生命に対して約束しているのではないでしょうか。


他の事例を見てみると、

2009年10月に住友生命と三井住友海上が提携しました。
10月1日に合併したあいおいニッセイ同和損害保険は引き続き日本生命との提携関係を
堅持し、損害保険ジャパンは第一生命と提携しています。生保は契約内容確認活動で営業
職員による顧客訪問活動を強化しているため、顧客の新たなニーズの掘り起こしに対する
チャンスが多いというのが、生保チャネルを高く評価している理由だといわれています。


それでは、この生損保の保険販売をマーケティング上、なんと呼んでいるでしょうか。


マーケティング用語に「アップセル」と「クロスセル」という言葉があります。
「アップセル」とは既存顧客に「より上位のもの」を購入してもらうこと、「クロスセル」は
既存顧客に「別な商品」も購入してもらうことを意味します。これらは購買履歴データベース
を活用したCRM(Customer Relationship Management)の基本的な考え方です。

損保という小額商品の加入者に、生命保険を販売するのは「アップセル」の代表的な例です。
顧客が最初に購入した傷害保険などの損害保険でリレーションを保ちつつ、より高額な生保
購入を勧めていく、という手法です。


アップセルを行なうことにより、顧客数を増やすことなく総売上額を増やすことができます。
新規顧客を獲得するのはコストが高くなりがちであるため、顧客あたりの売上単価を向上する
ことは効率の良い売上向上策となりますので、特約付帯などを推し進める保険会社の狙いは
ここにあります。


そして、アップセルで重要なのは顧客の納得と満足であり、その場限りの利益を追求して強引
な販売をすれば、顧客は「高いものを買わされた」と感じて、結果的には離れていってしまい
ますので、最終的に顧客に納得・満足してもらえる提案を行うことで、顧客との長期的な関係
を形成し、「顧客生涯価値」の最大化を図るようにすることが大切です。
(生保の営業職員の強引な営業スタイルが敬遠されるのは、ここに由来しているのでしょう)


クロスセル(Cross Sell)とは、ある商品の購入者または購入希望者に対して、その商品に関連
する別の商品、あるいは組み合わせ商品などを推奨することで、顧客当たり購買品目数の向上
を目指す販売アプローチを指します。生損保の商品を販売する場合は、上述した「アップセル」
との区別が難しいですが、販売量を増やす手法としてこれらの2つの手法が謳われています。


クロスセルについては、保険販売から離れて、身近な例として、マクドナルドなどを取り上げ
て考えてみます。マクドナルドでハンバーガーを頼むとポテト等のサイドメニューを勧められ
ることなどが挙げられるます。


また、クロスセルの成功例は、オンラインショッピングサイト「アマゾン」が挙げられます。
オンライン書店としてスタートした同社は、顧客の希望する作者やシリーズの新作が発売される
と個人宛にメールで「連絡」します。同時に購買履歴から趣味志向を把握し、同じジャンルや
その顧客が好みそうなジャンルの新作が出れば、顧客にそれらを「レコメンデーション(推薦)」
して購買を促進(クロスセル)しています。商品ページ内に「この商品を購入された方は下記
の商品も購入しています」と関連商品を紹介したり、商品購入後のサンキューメールにオスス
メ商品を紹介する等のクロスセルを誘導する施策がその一例です。

書籍という分野は積極的な推奨活動で興味を喚起できればいくらでも購入につながる可能性が
あると言われていますが、この点で同じCRMでも自動車や生命保険のように長期的で高額商品
分野に比べ短期的に収益を上げることができます。


一般にクロスセルを実現するためには、顧客の志好性やライフスタイル・購買履歴等の情報と、
販売員の商品知識定着が必要となるといわれ、また、データ分析により商品やサービスに対する
顧客群はどのような顧客群で、どの程度のボリューム存在しているのかを理解することが可能
となり、より効果的に施策を行うことができます。保険会社や保険代理店がこのような観点から
データベースマーケティングを行なっているという話は余り聞きませんが、停滞基調にある保険
市場において、永続的な成長を実現するには、この手の手法が必要になると考えています。


また、良い機会なので、「顧客生涯価値」についても言及します。


顧客生涯価値は、「LTV」とも言われますが、「lifetime value」の略称です。
1人(1社)の顧客が取り引きを始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)を通じて、
その顧客が企業やブランドにもたらす損益を累計して算出したマーケティングの成果指標のこと
を指します。

計算式は、「年間取引額×収益率×取引継続年数」が基本となります。
保険においては、「年間の保険料×損害率×継続年数」という計算式が基本になるのでしょうか。

また、小売やメーカーなどでは、固定客・上位客を特定するために「購買頻度」や「1回当たり
取引金額」「ブランド指名率」などを考慮に入れたり、顧客ライフサイクルが超長期であること
を想定して現在価値に換算するといった操作をすることもあります。


この指標が注目される背景には、顧客を新規に獲得するには既存顧客維持の5倍のコストが必要
だという定説があります。新規で自動車保険に勧誘するコストは、継続で自動車保険を購入して
もらうためにかけるコストの5倍かかるというものです。


利益最大化を考えた場合、既存顧客(特に固定客・リピーター・得意先など)からの売上を重視
する方が効率的であり、1人1人(1社1社)の顧客シェアを追求すべきだという考えから、それを
計測する指標として考案されたのがLTVになります。

既存顧客からの売上や利益を増加させるには、別の商品を売り込む、購買頻度を増やす、顧客コ
ストの削減を通じて利幅を大きくするなどの方法が考えられますが、顧客生涯価値に基づく経営
戦略では、一時的な売上増よりも顧客との長期的な関係、すなわち、将来を重視することが多い
のですが、最近の保険会社は「損害率低下」に血眼になっていますから将来を展望した引受が
できていない損害保険会社も多いのではないでしょうか。

「顧客維持が重要だ」といっても、顧客維持活動にもコストが掛かるため、安易な安売り
(保険料のビット)は利益額を減じることになリ、顧客生涯価値の最大化を妨げています。

そこで「顧客獲得コスト」と「顧客獲得率・離反率」、「顧客維持コスト」と「顧客維持率」の
バランスを注意深く分析しながら、マーケティング活動をコントロールすることが保険会社や
保険代理店に求められているのですが、その点に気付いている方がどの程度いるのでしょうか。

少し難しい話になりましたが、明日の代理店経営、保険会社の事業戦略を考える上では、非常に
重要な概念です。

また、東京海上日動が明治安田生命に約束した対価は、アップセル、クロスセルによる損保商品
からの手数料アップではないでしょうか。東京海上日動ならではなの科学的なマーケティング力
を駆使して、明治安田生命に大きな手ごたえを約束するとともに、自社商品の販売実績アップに
より国内事業の基盤を安定化させることを指向しているのではないでしょうか。


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