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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上日動の1日自動車保険(その2)です
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東京海上日動の1日自動車保険(その2)についてです。


東京海上日動は、親や友人の自動車を運転する際に、1日あたり500円の保険料で、
必要な日数分だけ、いつでもどこからでも携帯電話で加入できる新しい自動車保険を
開発しました。今年の10月から販売します。

http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/j0201/pdf/110715.pdf

これは、損保他社にとっては、青天の霹靂(へきれき)ではないでしょうか。

自動車保険の1日単位の補償の販売やアンバンドリング(※)は、どの損害保険会社も
考えていたでしょうが、自動車保険は、各社の保険料収入の約半分を占めるため、
「主要商品のパイを減らすことになる」と考えられることから、自動車保険を細切れで
販売することには消極的であったと思われます。


 ※バンドリングとは、関連するふたつ以上の商品やサービスを組み合わせ、ひとつの
  セットとして提供する販売手法です。バンドリングの例には、パソコンとソフト
  ウェアのセット販売などがあります。家電量販店で販売されているパソコンには、
  マイクロソフトのオフィスなど、各種ソフトなどがあらかじめインストールされ
  ており、セット価格で販売されていることがあります。これがバンドリングです。
 
  これに対し、セット販売せずに、消費者のニーズに合わせて商品内容を組み合わせる
  ことができるように、機能をばらばらに分けた販売手法をアンバンドリングと呼びます。

  バンドリングを行う際のセット価格は、一般に個々の商品の合計価格よりも安く
  設定されます。消費者にとってはもちろんセット購入は割安感があり、お得に
  なります。セットで割安に提供する、このような商品提供手法をとくに「価格
  バンドリング」と呼びます。
  一方で、販売側にとっては、バンドリングを行うことによって、本来ならば売れな
  かったはずの商品を、販売価格よりは割安であっても、売ることができるという
  利点があります。ひとつの商品のみにしかなかった需要を、別の商品の需要にまで
  広げることができるのです。
  (自動車保険は、対人・対物・人身傷害がセット化されています。車両保険のみ
   加入したいが、基本となる左記の補償を買うことで車両保険を付保することが
   できるのもバンドリング戦略の一つです)
 


しかし、東京海上日動は、1日自動車保険の販売に踏み込みました。

この東京海上の英断を「逆転の競争戦略(著者:山田英夫)」の言葉を使って表現すると
次のとおりになります。

●リーダー企業は、常に先手、先手を仕掛けるべきである。
●リーダー企業は、既存製品・事業を否定するような事業を行う場合、それを既存製品・
 事業と隔離して行うべきである。
●リーダー企業は、チャレンジャー企業が力を入れてこない(力を入れられない)ような
 新しい競争要因を見つけるべきである。


今まで企業で実践されてきた競争の基本は、「相手の弱みを探し出し、それを自社の強み
によって攻撃する」というものでした。これは、戦争での戦い方を起源としており、
実践面ではこれを応用して「ランチェスターの法則」などが提唱され、多用されてきました。
国と国の戦争は、いつたん敵国を破り敵地を制覇すれば、そこで戦いは一応終了する。

しかし企業と企業の戦いは永続的であり、競合企業も当然自社の弱みを熟知しており、
時間をかけてそれを克服していく。
チャレンジャー企業が常にリーダー企業を脅かし、その座を奪い、それをまた新たな
競争業者が攻撃していく構図こそが、環境変化に対応できる企業を生み出すとされますが、
MS&ADが発足し、リーダーの地位から転落した東京海上日動は上記リーダー企業として
の戦術を実践したように思えます。


競合企業であるMS&ADやNKSJは当然、東京海上の弱みを熟知しているはずです。
東京海上は時間を掛けてそれを克服してきました。その結果として、競合社のつけ入る
隙間は徐々に小さくなっていると思われます。
(超保険の販売による顧客の囲い込みは、東京海上日動専属の代理店が他社に乗り合う
 インセンティブを減らす効果もありますので、代理店の囲い込みという意味でも有効
 です)

保険市場の成熟期では、競争者の攻撃に対してリーダー企業は極めて強固になったため、
リーダー企業のシェアは固定化してきました。個社ベースでは、東京海上日動がダントツ
シェアが一番です。このような状況でチャレンジャー企業である三井住友海上などが
従来の競争の方法をとり続けても、シェアを奪取できる可能性は低く、だからこそ、
経営統合という形で、あいおいニッセイ同和をグループの傘下におさめたのでしょう。


東京海上日動は、リーダー企業という自負を持ちながらも、企業規模的にはリーダーの
地位から転落しましたので、新たなリーダーであるMS&ADが追従できない、もしくは
追従し難い戦略をその核とする必要があります。それを実践したのが、1日自動車保険
なのではないでしょうか。

また、以前もこのメルマガでお伝えしましたが、この保険のターゲットは、親の車や友人
の車を運転するなど、運転頻度は低いが自動車保険に入っていない利用者(例えば大学生
など)だといいます。

年齢条件設定をしている親の車を一時的に運転する場合など、保険の必要性を感じながらも
金額面や簡単な手段がないために保険加入していない人をメインターゲットとしていますね。
これまで保険会社の顧客でなかったこうしたユーザーに加入してもらえる可能性が増える
という意味では、「ブルーオーシャン」戦略といえますね。


東京海上日動の戦略は、今後の損保マーケットの趨勢を占う上で、看過できないものです。
同社の戦略性をしっかり理解するためにも「逆転の競争戦略」を読むことは必須です。
経営戦略の知識をさらに深化させることができる同書の内容を参考までに少しご案内します。


本書は、このような「強み」が「弱み」に転化していく現象を、「資産の負債化」と呼び、
なぜそうした現象が起きるのか、またチャレンジャー企業はいかにしてリーダー企業の
資産を負債化させていくことができるか、を豊富な日本企業の事例研究をベースに提言
しています。

ヒト、モノ、カネ、情報と言われる経営資源に関しては、「資源が多い方が有利である」
という暗黙の前提で考えられてきました。特に、業界のリーダーの地位にある企業は、
その経営資源の優位性を活かすことによって、競争優位を構築できるというものでした。
しかし近年「持てるものの弱み」「持たざるものの強み」が目立つ事例が増えてきました。


数多くの事例研究により、以下の点が明らかにされています。

●リーダーとは、決して安泰な地位ではなく、むしろあらゆる企業から標的とされる
 リスキーなポジションである
●リーダーは、その競争優位の源泉から転落が始まる
●リーダーが追随しにくい戦略こそが、逆転を狙うチャレンジャー企業の戦略である


競争戦略とは、企業が新市場において全体的姿勢を明確にし、最大の投資リターンを
目指して競争優位な地位に経営資源を投入し、展開する方法と方向の決定と定義されて
います。また、リーダーなどの各ポジションを以下のとおり定義づけしています。

●リーダーとは、「量的経営資源にも質的資源にも優れる企業」
 ⇒一般に業界のマーケット・シェア1位を指す。
 ⇒東京海上日動

●チャレンジャーとは、「量的経営資源には優れるが、質的経営資源がリーダー企業
 に対して相対的に劣るような企業」。
 ⇒リーダーの地位を狙う立場にある企業を指す。
 ⇒三井住友海上や損保ジャパンなど

●ニッチャーとは、「質的経営資源には優れるが、量的経営資源がリーダー企業に
 対して相対的に劣るような企業」。
 ⇒リーダーのようなフルライン政策や量の拡大を狙わない企業を指す。
 ⇒AIUなど

●フォロワーとは、「量的経営資源にも質的経営資源にも恵まれない企業」
 ⇒直ぐにはリーダーの地位を狙えないような企業を指す。
 ⇒富士火災や共栄火災など


研究事例が豊富な本で、数々の気づきがありますので、続きは、ぜひ同書をご購入いただき、
理解を深めてください。東京海上日動の1日自動車保険の戦略性に関する理解をさらに
深めることができると思います。



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