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「損保業界」と「発展途上国」を結ぶ会の事務局です。

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  今日のテーマは 東京海上の販売チャネル戦略  です
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東京海上日動の販売チャネル戦略についてです。

まず、東京海上日動社のチャネル戦略に触れる前に、マーケティングにおける「チャネル戦略」
について(概略ですが)解説します。  
 
チャネル戦略とは、一般的には「商品販売のために、どのような流通経路を選択するのか」
という戦術のことを指します。
また、チャネルは、標的市場に到達するために以下の3種類に分けられます。

1.コミュニケーション・チャネル
2.流通チャネル
3.販売チャネル

コミュニケーション・チャネルは、ターゲット顧客にメッセージを送ったり、契約者から
メッセージ(意見・苦情など)を受け取るためのチャネルです。新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、
手紙、電話、屋外広告、チラシ、インターネットなどがこれに相当します。

流通チャネルは、消費者に商品のパンフレットやサービス(補償など)を見せたり、伝えたり、
届けたりするチャネルです。保険会社のHP(Web)などが該当します。

販売チャネルは、消費者に保険商品の販売を行なうチャネルです。保険代理店のほかに、
インターネットを通じた保険販売も含まれます。

(マーケティング戦略を企画・立案するマーケターにとっては、コミュニケーション、流通、
 販売の3つのチャネルをどう組み合わせるかが課題となります。MBAではこのような
 ことを総合的に学びます)


なお、保険会社における販売チャネルをより細かく分けると、以下3つになります。

1.取扱い業者を制限せずに多くの業者に自社商品を扱ってもらう「開放的チャネル戦略」
2.メーカーの系列店や選定した店舗のみ自社商品を扱うことのできる「排他的(専属的)
  チャネル戦略」
3.上記の中間ともいえる「選択的チャネル戦略」

上記3点にはそれぞれメリット・デメリットがあり、他社商品との競合に向く商品と、
そうでないものがあるため、商品にあったチャネルを選択する必要があるといわれています。
通常、損害保険会社には、販売チャネル別の戦略を企画・立案する以下の部署が存在します。

●専門チャネル=保険以外の他業種チャネル
 ・ディーラー推進部
 ・金融推進部
 ・整備工場推進部
 ・企業推進部
 ・旅行営業推進部    など

●プロチャネル=保険メイン型チャネル
 ・専業代理店推進部
   

東京海上日動社の場合、上記組織は以下の部署名となっていると思われます。
(2010年度ディスロージャー資料から推測)

 ・営業開発部
 ・企業営業開発部
 ・金融営業推進部
 ・自動車営業開発部
 ・旅行業営業部


これらの部署で企画・立案するチャネル別の戦略を、(国内事業を取り纏める)営業企画部が
集約、「国内営業戦略」を策定したうえで、最終的には、経営企画部が策定する経営理念等
との平仄(ひょうそく)をあわせ、確定させるのでしょう。

なお、チャネル別の戦略を検討するにあったては、マクロ・ミクロ環境を分析する必要があります。
周知の事実ではありますが、少子化・高齢化の進行や、常態化した経済の低成長といった環境変化
により、国内の保険マーケットは縮小の方向にあります。こうした中、損害保険業界では事業収益
の確保に向けて3メガ体制が誕生し、また海外戦略の強化を図る一方で、国内市場においては組織
・チャネルの効率化に向けた舵取りを行っています。また、1億総インターネット時代に突入し、
販売面での徹底した顧客囲い込みを図りながら、携帯電話などを活用した新規顧客獲得に向けた
チャネル多様化も視野に入れる必要があります。

こうした変化の波は、これまでの保険販売の在り方を大きく変えつつあります。
損害保険の専業代理店は組織大型化による効率化と販売の質的向上(システム対応や生保販売も含めた
総合的な提案力)がより一層求められるようになりました。また、台頭してきた様々なニューチャネル
に視点を移すと、銀行窓販は生保会社の業績を左右するまでに拡大しました。保険の来店型店舗も
全国各地に急拡大しています。さらには、ネットを専門としたネット代理店も新たなビジネスモデル
として注目を集めています。


このように損害保険業界を取り巻く環境が目まぐるしく変わっていく中で、東京海上日動の財産である
販売チャネルは今後どのような展開を図っていくのでしょうか。各チャネルで東京海上日動の強み・
弱み・課題・展望などを考えてみます。


●自動車販売店(ディーラー)

 東京海上日動はトヨタとの関係が強いです。
 また、日産、ホンダ、マツダ、ダイハツなどとも関係を構築しています。
 全国どこの自動車販売店にいっても東京海上日動の自動車保険を購入することができます。
 幅広い自動車販売店との結びつきは、東京海上日動社のブランド力(顧客訴求力)の賜物なので
 しょうが、自動車販売店の収益力が低下している昨今では、東京海上日動社のブランド力だけで、
 販売店との関係を構築することは不可能でしょう。
 自動車販売店の収益を向上させる提案力や営業マンへのきめ細かい対応力・機動的な対応力が
 焦点になるのではないでしょうか。組織改変を実施し、人員のスリム化を実施していることの反動
 として、自動車販売店の「離反」が始まるかもしれません。


●銀行・信金

 三菱グループの中核である「三菱UFJ銀行」「三菱UFJ信託」の顧客基盤に対して、如何に
 効果的に自社商品を供給していくのか。銀行は銀行窓販にかかる法律による厳しい販売規制の下、
 保険商品を販売しないといけません。そのため、三菱グループの保険を優先的に販売することが
 できません。銀行員は、複数の商品を提案し、顧客ニーズに合致した商品を販売しなくてはいけ
 ませんので、「補償の充実」は大前提として、他社比低廉な保険料を提示できるか否かが銀行に
 おける成否のカギとなるのではないでしょうか。
 また、三菱UFJ銀行は、UFJ(元三和銀行、東海銀行)の血も流れていますので、日本興亜
 との競争も看過できません。ブランド力では勝てるとしても、日本興亜の「銀行に強い商品性」に
 勝てる商品の開発が不可欠です。

 信金チャネルは地域に根ざした金融機関だけに、財閥などによるシガラミはなく、より良い商品を
 供給する保険会社の商品を強く推奨していくものと思われます。また、フットワークの軽い営業社員
 がいる保険会社との関係強化を志向するのではないでしょうか。上記の通り、組織改変による効率性
 を求めることの犠牲として、人間関係を重視する販売チャネルとの関係の「希薄化」は容易に想像
 できます。


●生保

 損保ジャパンと第一生命、三井住友海上と住友生命・三井生命の関係のように、大手生保の顧客基盤
 を活用した営業戦略を模索する必要があります。先般リリースされた「明治安田生命との戦略的提携」
 が生保の顧客マーケットでの浮沈を左右するものと思われますが、明治安田生命との関係強化がどの
 程度行なわれるのか不明です。明治安田生命は日本興亜と提携し、そんぽ24や日本興亜の自動車保険
 を主力商品としてきました。日本興亜グループとの関係を断ち切れるのか、そのために、明治安田と
 東京海上日動の双方に合理的で、効果的な戦術が企画できるのか、今後の展開に注目です。

 (明治安田生命との提携に関するニュース)
 http://www.sankeibiz.jp/business/news/100925/bse1009250501005-n1.htm

 
●企業
 
 三菱グループをはじめとする大企業群、東京海上日動社が株式を保有する大・中堅企業群、そして、
 ブランド力を訴求し開拓に成功した中小企業群の取引シェアを維持・高めるために何をすればいいのか。
 昨今、財務の健全性確保のために、政策株式の売却(株式持合いの解消)が加速しています。他の
 ライバルも同様に、政策株式の売却を進めていますが、株の含み益が他社比で多いだけに、売却する
 株式数・金額も多額になります。(売却後の)当該企業との関係性の維持・強化を図るためには
 どうすればいいのでしょうか。関係の薄かった富士火災などのダークホース的損保会社の攻勢は激しい
 ものとなるでしょう。また、他の2メガも間隙を縫う形で、取引シェアのアップに向けた活動を活発に
 行なうことでしょう。
 なお、企業の設備投資は海外に向けられています。今後も新興国を中心とした海外への投資傾向は続く
 中で、海外における日系企業の保険ニーズをキャッチするための仕組みづくり(海外現地法人の設立、
 海外損保との提携、再保険での引受など)がより一層重要になることは間違いなしです。

 (東京海上日動の政策株式売却に関する記事)
 http://blog.songai-hoken.info/archives/51624251.html


●旅行代理店

 人工衛星保険や航空保険などにおけるリーディングカンパニーだけに、引き続き、JAXA(宇宙航空
 研究開発機構)、JAL、ANAとの関係維持・強化が旅行マーケットの肝なのでしょうか。
 また、旅行代理店のJTB、近ツーなど大手旅行代理店との関係をどうしていくのか、海外旅行保険は
 損害率も低いので安定した収益が望めますが、AIU、エース損保という外資系損保もこのマーケット
 には各種提案を持ち込み、旨みのある海外旅行保険マーケットでの存在感を強めているのも事実です。
 既存マーケットを守りながらも、旅行代理店との付き合いで生じる各種のコスト(費用)を如何に
 マネジメントするかがカギなのではないでしょうか。また、海外旅行保険は、携帯電話やインター
 ネット販売が主流となっていることを踏まえ、旅行代理店とは一線を画し、専業代理店を通じた
 インターネット販売にシフトすることも検討の余地があるのではないでしょうか。

 (JALへの出資支援に関するニュース)
 http://flyteam.jp/news/article/1131


●自動車整備工場

 整備工場は、個人事業から法人まで保険代理店としての規模は様々ですが、町の整備工場は(地域差は
 ありますが)東京海上日動の看板を吊っている整備工場が多いというのが実感です。そして、その
 整備工場(保険代理店)に共通しているのが、「ロータスクラブ」の会員であるということです。
 
 (ロータスクラブのHP)
 http://www.lotas.co.jp/what/what.html
 
 ロータスクラブは、自動車整備業者により、昭和50年1月23日に設立された全国組織です。その組織を
 支援する会社の一つが東京海上日動です。当該クラブは北は北海道から南は沖縄県まで、全国1600社の
 サービスネットワークを展開しているそうです。東京海上日動は、組織に属さない自動車整備工場は
 もとより、全国組織も対象とした保険販売支援を行なう必要があります。
 ただし、当該チャネルは取り扱う保険種類は自動車保険と自賠責保険が主であるため、1代理店あたり
 の扱い保険料は少ないのが特徴であり、また、主たる事業は自動車整備関連となるため、保険代理業は
 片手間なのが現状です。契約者への説明責任の履行も視野に入れると、専業代理店とのタイアップや
 コールセンターを活用した(自動車保険の)継続活動にシフトさせることも検討していると考えられます。 
 整備工場の保険代理店にとっては、生き残りをかけて、既存の販売体制から脱皮する時期であり、他方
 専業代理店にとってはビジネスチャンスの到来となっているのではないでしょうか。


●専業代理店(プロ代理店)

 東京海上日動の130年以上の歴史を下支えしてきたのが専業代理店でしょう。
 これは、リテール(個人マーケット)を主たる戦場としている損害保険会社は全て同様と思います。
 その専業代理店にとっては、上記販売チャネルとの競争が激化しているのが現状です。

(一部の専業代理店は、日本保険代理店業協会という全国組織をベースに、保険会社(の政策)に対して、
 一矢報いるべく、各種提言をしています。銀行窓販解禁、郵政民営化などにおける保険販売に対しても、
 専業代理店の立場から公平・公正な競争を官民に対して進言しています)
  
 東京海上日動は、財閥系、国内トップの損保会社である知名度、財務の健全性などから、幅広い販売
 チャネルと取引をしなくてはならず、必ずしも、専業代理店贔屓の戦略が打てないのも事実として
 あると思います。ライバル損保も統合などにより規模を拡大し、戦略的に国内マーケットに攻勢を
 かけている中、既存マーケットを守る立場にある東京海上日動は全方位外交を強いられているため、
 専業代理店の期待を裏切る局面もあるでしょう。(イーデザイン損保の設立はその一例でしょうか)
 また、東京海上日動パートナーズの設置、TQ制度を軸とした地域戦略も重要となります。
 全国津々浦々張り巡らされた支店・支社の統廃合と関係してきますが、自ら出資し、社員を出向して
 いるパートナーズの戦略的活用や、地域の基軸として営業戦略の要となるTQ認定を受けた大型代理店
 の輩出など、東京海上日動の個人マーケット市場の浮沈を占う専業代理店チャネルの戦略策定は、他社
 との競争においても重要な位置付けになると考えられます。
 
 (東京海上日動パートナーズに関する書き込み)
 http://logsoku.com/thread/society6.2ch.net/hoken/1235657326/


以上、東京海上日動の販売チャネルの動向に対する考察をお伝えしました。
米国の損保市場では、保険会社間の競争、チャネル間の熾烈な闘いが繰り広げられる中、保険会社の
チャネル戦略およびチャネル内部の双方において変化が生じているそうです。具体的には、独立代理店
のM&A が続いており、保険販売事業の強化を狙う銀行等が主要な買い手となっているとのこと。

また、かつて専属代理店のみを通じて販売していた個人分野の大手社の中にも、M&A を通じた独立代理店
チャネルの追加やダイレクト・チャネルの立ち上げによって、より多様な顧客の獲得を目指す戦略
(マルチチャネル戦略)をとる保険会社が現れています。

その背景には、
1.代理店主の高齢化
2.家族以外への承継も視野に入れた永続化計画の不在
3.付加価値サービスの提供に必要なコスト負担の重さ
4.規模の利益の存在
5.保険会社が設定する最低保険料および報奨金獲得基準の引き上げ などが挙げられるそうです。

代理店M&A の買い手は、独立代理店、銀行・貯蓄金融機関、保険関連のサービス会社等となっているとの
ことですが、米国と日本とではマーケット事情が異なるにせよ、販売チャネル間の競争の質が、米国型に
なる日が来るのでしょう。将来予測もしたうえで、販売チャネル戦略を考える日が来ています。
東京海上日動社の今後の動向に注目していきたいです。



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