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<本日の対象記事(マイコミジャーナル2/5『&P、メットライフを格下げ方向で
          「クレジット・ウォッチ」に指定』>

スタンダード&プアーズは3日、メットライフとその子会社に対する格付けを、
引き下げる方向で「クレジット・ウォッチ」に指定した。メットライフの
「シングルAマイナス」の長期カウンターパーティ格付けも対象となる。
三井住友海上メットライフ生命保険の保険財務力と長期カウンターパーティ
格付けとアウトルックは、引き続き「ダブルA/ネガティブ」。
同社の格付けには、親グループである三井住友海上と米メットライフの
両グループによる支援が織り込まれているが、「三井住友海上メットライフ
生命保険の信用力は、最終的には、同社に51%出資(2009年12月末時点)し、
同社と同じ日本市場で事業展開している三井住友海上グループの信用力に
依拠する」(スタンダード&プアーズ)としている。

メットライフとその子会社に対する「クレジット・ウォッチ」指定は、
メットライフがアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の子会社で、
国際的に生命保険事業を展開するアメリカン・ライフ・インシュアランス
(ALICO)を買収する方向で、AIGと協議中であるとの発表を受けたもの。



早速ですが「格付け」とは何でしょうか・・・。

格付けとは、社債、保険支払能力、デリバティブ、仕組み債、ローン債権などに
対する評価の指標のことです。
たとえば、個別の債券に対して、約定どおり元本と利息が支払われる確実性を
AAAやAa1などの符号で表示します。債権を発行する債務者は、格付け会社に自らの
債務を格付けしてもらい、投資家はこの情報によって運用にかかるリスク管理を
行います。

格付けには、債務者が格付け会社に格付けを依頼して取得するものと、格付け会社
が独自の判断で格付けを行うもの(いわゆる勝手格付け)があります。
代表的な格付け会社は、アメリカのムーディーズ・インベスターズ・サービス、
スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービスなどです。

日本にも日本格付け研究所、日本格付け投資情報センター(通称R&I)などが
あります。格付けを理解するうえで注意しなければならないのは、格付け会社が
評価しているのは、あくまで「信用リスク」であり、つまりは「債務を履行する
能力がどれだけあるか」ということです。

決して企業の全体的な経営能力を評価しているものではなく、判断基準として
実際に用いられているのは、元利金の支払いに充当されるであろうキャッシュフロー
のレベル、安定性、収益性、成長性などの指標のほか、現預金、短期有価証券
の金額などがあります。例えば、保険会社の場合は、海外事業展開や販売網政策、
商品戦略、損害率動向など収益性、成長性に関することが主に分析の対象となります。


また、少し古いですが、2009年6月時点の損害保険会社(一部)の格付けは以下の
とおりです。


損保会社/格付会社   ムーディーズ     S&P      JCR   

あいおい損害保険      A1         A+      −

AIU保険         −         A+      −

共栄火災海上        −         −       A+

損害保険ジャパン     Aa3         AA-      AA+

東京海上日動火災保険    Aa2         AA       AAA

ニッセイ同和損害保険    −         A+      AA

日本興亜損害保険      −         A+      AAp

富士火災海上保険      −         A-       A+

三井住友海上火災保険    Aa3        AA       AAA



そして、上記格付け記号の意味は以下のとおりです。


ムーディーズ(ムーディーズ・ジャパン株式会社)
Aaa: 支払能力が極めて優れている。変化によって財務力が損なわれるとは極めて考えにくい。
Aa : 支払能力が極めて優れている。Aaa格の保険会社と比較して長期的リスクがやや高い。
A : 支払能力が良好である。将来のある時点において支払能力に影響を及ぼし得る原因がある。
Baa: 支払能力が適切である。長期的には、確実性を支える要因のいくつか欠けているか、
   その性格上、信頼性が不足している部分がある。
Ba : 支払能力に疑問がある。将来の支払に関して安全性が十分でない部分がある。
B : 支払能力が弱い。
Caa: 支払能力がかなり弱い。
Ca : 支払能力が極めて弱い。
C : 支払能力が最低。


S&P(スタンダード アンド プァーズ)
AAA: 財務内容は極めて良い。保険金支払能力は様々な環境の下で、圧倒的に優れている。
AA : 財務内容は非常に良い。保険金支払能力は様々な環境の下で、強力である。
A : 財務内容は良い。保険金支払能力は環境が悪化した場合、その影響をいくぶん受けやすい。
BBB: 財務内容はまずまずであるが、環境が悪化した場合、その影響を受けやすい。
BB : 財務内容はまずまずであるが、保険金支払能力、特に長期契約の支払能力は、
   経営環境・事業環境が悪化した場合、その影響を受ける可能性が大きい。
B : 財務内容は不十分である。現状では、、保険金支払いに問題はないものの、
   経営環境・事業環境が悪化した場合、その影響を受ける可能性がかなり大きい。
CCC: 財務内容は極めて不十分である。良好な経済環境および事業環境が続かない場合、
   保険金支払の継続は非常に難しい。
R : 債務履行能力に関して規制当局の監督下にある。



それでは、ここまでは単なる情報ですが、日頃、生命保険を販売する時などに格付け表を
契約者に見せることがあります。日頃の仕事の中では、格付けは消費者・契約者にとって
商品選択において重要な指標としか考えていない損保社員、保険代理店の方が多いと思い
ます。そこで、本メルマガでは、豆知識として、日頃考えない格付け会社の存在意義に
ついて考えてみたいと思います。


格付会社の存在意義は、「情報の非対称性の是正」にあると考えています。

保険会社のリスクに関する情報は、いわゆる噂の類などが世間にあふれていますので、
格付けが無くとも、消費者自身が独自にリスクを判断することは可能ですが、
ディスクロージャー制度の限界もあり、リスクを過不足なく評価するのに充分な情報を
得ることは非常に困難です。また、仮に消費者が充分な情報を得ることができたとしても、
それを正しく分析するためには、専門的な能力が必要になります。

こうした消費者と保険会社との間の「情報のズレ」を「情報の非対称性」と呼びます。

この「情報の非対称性」を埋める役割を格付け会社が担っていると考えることができます。
その理由は、一つには格付け会社が、保険会社やその関係者などから完全に独立した
第三者として情報提供し得る立場にあること、もう一つには保険金支払い能力などの
確実性についての分析を専門的に手掛け、独自のノウハウを持っていると考えられる
からです。


そして、消費者にとってはこの格付け会社の情報を参考にすることで 「情報生産コスト」を
軽減することができます。

保険商品、保険会社に関する情報を入手・分析し、リスクを適切に把握できるのは、
もちろん格付け会社に限りません。例えば投資に優れている人などは、自分自身でリスクを
判断する能力を持っていますが、保険会社の経営の一つ一つを全て細かく調べているのでは、
手間ひまがかかります。

こうした情報収集・分析などに伴う諸々のコストを「情報生産コスト」と呼びますが、格付け
情報を利用することでこの「情報生産コスト」を軽減することができると考えられます。

少し難しい内容になりましたが、以上のように、損害保険会社の社員や保険代理店の方が
消費者・契約者にとって「格付け」がどのような意味をなすのか、学問的な観点から知って
おくことも大切だと思います。

そして、よく耳にする「ソルベンシー・マージン比率」も重要です。
保険金支払い能力を定量的に判断できる指標で、ここ十数年前から良く聞く言葉に
なりました。この指標の意味についてもしっかりと憶えておく必要がありますね。

それでは、最後にソルベンシー・マージンについてです。

ソルベンシー・マージン(solvency margin)とは、『支払余力』を意味しています。

損害保険会社は、将来の保険金などの支払いに備えて責任準備金を積み立てているので、
通常予想できる範囲のリスクについては十分対応できます。しかし、環境の変化などに
よって予想もしない出来事が起こる場合があります。

例えば、大災害や株の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる
「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つが
ソルベンシー・マージン比率となるのです。

損害保険各社は、98年度から「ディスクロージャー資料」でソルベンシー・マージン比率
を開示しています。当該比率は経営の健全性を示す一つの指標ですが、この比率だけを
とらえて経営の健全性の全てを判断することは適当ではないかもしれません。

なお、ソルベンシーマージン比率が200%を下回った場合には、監督当局によって
早期に経営の健全性の回復を図るための措置がとられます。
逆に言えば、200%以上であれば、健全性についての一つの基準を満たしていることを
示していると考えられますが、大手の損害保険会社はいずれも200%を超過しているので
今現在は問題ないでしょうね。

格付けの意義、ソルベンシーマージン比率の意味をしっかりと憶えておくと、消費者・契約者
からの信頼を獲得できるのは間違いなしですね。


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