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<本日の対象記事(日本経済新聞1/29『東京海上、エジプトでイスラム保険会社を開業』>


東京海上ホールディングスは29日、エジプトでイスラム保険事業を始めたと発表した。
開業10年目で約128億円の拠出金(保険料に相当)収入を見込む。クウェートの投資会社と
合弁でエジプトにイスラム保険の専門会社を設立し、開業準備を進めてきた。


(関係する詳細記事:新日本保険新聞社からの転載です)
東京海上ホールディングスは、2007年12月にエジプトでEKHと合弁でタカフル会社を設立
することに合意し、2008年10月5日に生命保険に相当する「ファミリータカフル」と、損害
保険に相当する「ゼネラルタカフル」のそれぞれの会社を設立したが、所定の準備が完了し、
1月に両社の事業を開始した。2社合算の開業初年度の拠出金(保険料に相当)1,900万
エジプトポンド(約3.2億円)を、開業後10年目に約7億5,000万エジプトポンド(約128億円)
まで成長させ、急拡大が予想される同国のタカフルマーケットにおいて約20%のシェアを獲得
することを見込んでいる。合弁パートナーであるEKHは、クウェート有数の財界人を主要株主
として1997年に設立された投資会社。エジプトにおいて、エネルギー関連、製造業、肥料などの
分野に幅広く投資を行っており、エジプト、クウェートの両証券取引所に上場している。



(用語の説明)
タカフルとは、イスラム金融における保険商品のことを指します。従来イスラム金融では保険
業務は利息に類似する要素(リバー)を含む、過剰な不明瞭性がある(マイシール)、投機的
な行為である(ガラール)、などの理由によってシャリア不適格とされてきました。
そこで、相互扶助の概念に沿った、損害補填や相互扶助といった性質を持つタカフルが開発された
そうです。生命保険に該当するものは、ファミリー・タカフル、損害保険に該当するものは
ゼネラル・タカフルと呼ばれています。一定期間にわたって保険料に相当する金額を支払う契約を
締結し、保険会社は資金の運用益の一部を保険契約者に支払う旨を約束する仕組みになっています。

保険契約者の支払う保険料は、保険契約者名義の一般口座と特別口座の2つに分けられるそうです。
特に事故や病気などがなく支払いが発生しなかった場合は一般口座からプールされた資金とその
運用益が分配されて、事故や病気などが発生した場合には特別口座からザカート(喜捨)として
お金(保険金に相当する)が支払われる仕組みとなっています。



日本の損害保険会社は海外進出に積極的です。

各社の事業(または利益)ポートフォリオで、海外事業の比率を数年後には20%前後の引き上げる
などの計画を立てているので、積極果敢にアジア、欧米のマーケットに投資しているのが現状です。
BRICsに投資するのは定石だと思いますが、イスラム金融となると宗教の問題もあり、慎重な
判断が求められます。時間、情報、ネットワーク、お金、信頼などの様々な要素も求められます。
現在、「イスラム金融」マーケットに対しては、東京海上日動社が先行していますね。
他の損害保険会社は二の足を踏んでいるようですが、なぜ二の足を踏むのか。
それは、イスラム金融の独特な仕組みのせいかもしれません。

「イスラム金融の独特な仕組み」とは・・・

具体的な例でイスラム金融の基本的な枠組みを説明します。

資金を必要とする事業者は、まず自分の資産を「特別目的会社(SPV)」に売却します。
特別目的会社は、その資産を裏づけに「スクーク」と呼ばれる「イスラム債」を発行し、投資家は
その債券を購入し、代金を特別目的会社に支払います。特別目的会社は、その資金を事業主に資
産売却の代金をして支払い、その後、事業主は特別目的会社から資産をリースバックして事業を展開し、
リース物件に対して賃貸料を払う。
スクークに投資した投資家は、特別目的会社から証券のクーポンに相当する部分を資産の賃貸料として
受け取ります。スクークが満期に達したとき、事業主は特別目的会社から資産を買い戻し、その代金が
スクークの償還資金として投資家に渡される。これでスクークの取引は終了。

こうした仕組みを作ることで、宗教でタブーとされている「利払い」を回避することができます。

こうした仕組みは、プロジェクト・ファイナンスや不動産金融に適していますね。

中東諸国にはプロジェクト・ファイナンスの一部をイスラム金融で行なうことを求めるところもある
そうです。また投資家もプロジェクト・ファイナスの一部として発行されるスクークへ積極的に投資
する姿勢を見せているとも言われています。こうしたこともイスラム金融の成長を支える要因なの
でしょうか。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのレポート推計では、07年のスクークの発行額は前年比で
71%増えて、327億ドルに達しているとのことでした。
そして、07年末のスクークの発行残高は937億ドルとのこと。
「スクークは、イスラム金融の中で最も急速な成長と遂げており、特に過去6年間の拡大には目覚しい
ものがある」と指摘されています。さらに同レポートでは「08年のスクークの発行は年率で30%から
35%で成長を持続する」と予想されていました。(結果はどうだったのでしょうか???)


すこし話しが脱線しますが、個人が銀行から資金を借りる場合はどうなるのでしょうか。
最も一般的な取引は「ムラバハ」と呼ばれる仕組みがあります。
通常の金融では借り手は銀行から資金を借り、それで欲しい商品を購入します。同時に借入に対して
利子を支払いますが、イスラム金融では利息は禁止されているため、銀行は借り手に代わって商品を
購入し、それを借り手にリースするそうです。そこで発生するのは利子ではなくリース料。
銀行は購入価格にリース料を上乗せして借り手に請求する。通常、返済は割賦方式で行なわれ、
割賦支払いが終わった時点で商品は借り手に譲渡される。購入価格と転売価格の差は実質的に金利に
相当しますが、それは売買差益であって、それは金利ではなくリスクを取った報酬と見なされます。

そのほかにも「ムシャラカ」と呼ばれるパートナーシップ形態のイスラム金融があるそうです。

これは、二人の事業主(一方は銀行)がお互いに資金を提供してジョイント・ベンチャーを共同出資で
設立する形式を取る。もし事業で損失が発生すると、両者が出資比率に応じて損失を負担します。
もう一つの典型的な仕組みは「イジャラ」と呼ばれる「リース金融」と類似した取引だそうです。
これは、事業主が機械を購入したい場合、銀行が機械を購入して、それを事業主にリースする形態。
事業主は機械の用益権を得て、利用料を銀行に支払う。これは住宅ローンにも利用されることがある
そうです。

このように宗教上の問題があり、金融ビジネスも一般的なビジネスからかけ離れ、あの手この手を
駆使する必要がありますが、これも一つのビジネスチャンスです。
ビジネスチャンスをものにするにはリスクが伴いますが、このリスクを上手く回避できれば、大きな
リターンを手にすることができます。

事業者として、一定のリスクを犯してでも、将来の金の卵である金鉱を掘り当てることは望ましい
ことだと思います。コンプライアンス重視で、ベンチャー精神を忘れつつある今日この頃ですが、
東京海上HDの取り組みは是非応援したいですね。

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