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<本日の対象記事(日経新聞12/15「日本興亜損保、臨時株主総会を30日に延期」>

日本興亜損害保険は15日、損害保険ジャパンとの経営統合を決める臨時株主総会を当初予定
していた12月22日から12月30日に延期すると発表した。統合に反対している松沢建元会長ら
一部のOB株主が臨時株主総会の開催差し止めの仮処分を東京地裁に申請したことを受けたもの。
日本興亜は開催を延ばして株主への送付資料を出し直す。
OB株主らは株主に配られた参考資料に損保ジャパンが5月に発行した1280億円の劣後債に
関する記述がなかったことを「虚偽記載」として、11日に総会の差し止めを東京地裁に申請
していた。日本興亜は損保ジャパンの劣後債に関する記述を盛り込んだ参考資料を追加で送る。
損保ジャパンは総会の日程は22日のまま変更しないが、同様の追加資料を株主に送る。


昨日、三井住友海上HD、損害保険ジャパンなどの損保が無事臨時株主総会を終えることが
できました。上記記事にもあるとおり、一部の会社では総会差し止めの申請などがあり、
延期することが余儀なくされていますが、その原因が「虚偽記載」だそうですね。
これが虚偽記載と言われているのが「劣後債」についての非表記が理由とのこと(笑)。
そこで、本日は、劣後債について考えてみたいと思います。


劣後債とは、償還や発行体の解散または破綻時に他の債務(普通の債券を含む)への弁済を
した後の余剰資産により弁済される債券です。この劣後債は、普通の社債よりも株式発行など
で得られる資金に似ています。そのため、劣後債には、社債よりも高い金利が設定されます。
発行者ではなく、購入者の立場から言えば、普通の債券よりもリスクが高まる代わりに
リターンも高くなる金融商品となります。

それでは、劣後債を発行した損保ジャパンのメリット・デメリットは何でしょうか。

1.損保ジャパンにとってのメリット

 ・自己資本増強を図れることに加え、株式ではないので購入側からの経営関与度が小さい。
 ・株式(優先株)に比べて資本コストが低い。
 (優先株よりも低リストであることに加え、株式配当の原資が税引き後利益であるのに対して、
  債券の利払いは支払い費(経費)として認められているから)
 ・普通株式に転換される可能性がないので、1株利益希薄化を避けることができる。

2.損保ジャパンにとってのデメリット
 ・金利負担が高くつく。
 ・広義の自己資本としか認められない。
 

以上を踏まえ、なぜ、日本興亜の株主に配られた参考資料に損保ジャパンが発行した1280億円
の劣後債に関する記述がなかったことに問題があったのか。


それは、企業の格付けをする際、企業の将来のキャッシュフローを重視することがあります。
社債などを含む金融債務の主な支払い原資となるのは、本来の事業活動(保険事業)から
生み出される資金、キャッシュフローとなりますが、この債務に対して、キャッシュフローが
豊かで安定しているほど、支払いの確実性は高まります。
しかしながら、これから海外事業や年金事業などに対しての投資に意欲的な損保会社は、
その関連経費によってキャッシュフロー自体が圧迫されていることもあります。
そこで、抱える債務がどの程度あるのか、またその債務返済に対してどの程度潤沢な資金があり、
また、その資金を捻出する事業の先行きが企業評価にとっては重要となります。

企業を格付けする立場(格付け会社など)の立場からすると、企業のリスクを的確に把握する
必要があります。例えば、損保ジャパンの場合、同社が抱える事業リスクと財務リスクを定量的、
定性的に把握したうえで、将来のキャッシュフローの十分性、安定性を予測して損保ジャパンの
格付けを決定します。

また個々の損保会社が抱えるリスクの把握に際しては、まず企業を取り巻く内外の経済や金融、
保険産業の動向など、今後の事業環境を精査します。また、海外事業の進展や、インターネット
技術を核とした技術革新、規制緩和などの経済構造の変化で、企業の競争条件は激変しています。

これを総合的に評価して、損保ジャパンの格付けができ、損保ジャパンと統合することの適否が
判断できることになります。

ただ、損保ジャパンは劣後債を発行したことを隠し続けていたわけでもありませんし、また、
参考資料に表記漏れがあったとしても、本当に今回の統合に感心があるのであれば、
損保ジャパン側の決算書も事前に隈なく見るはずなので、今回のOB株主による臨時株主総会の
開催差し止め仮処分の申請はやり過ぎ感があります。

OB株主が一生懸命なのは分りますが、過去の人が、今の人を感情論だけで、揺さぶり掛ける
ことに幼稚さを感じてしまうのは管理人だけでしょうか。

本日は、企業の格付けの観点から劣後債について説明しました。■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

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