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<本日の対象記事(日経新聞12/10「木造ALC住宅用の火災保険 旭化成建材、AIU保険と提携」>

旭化成子会社の旭化成建材(東京・千代田)は10日、AIU保険(東京・千代田)と提携し、
耐火外壁材の軽量気泡コンクリート(ALC)を使った木造住宅用火災保険の取り扱いを始めたと
発表した。割安な保険を提案することで、耐火性能に優れた建材の販売を後押しする。

新保険「トライアングルA」は、「へーベルライト」などのALCを外壁に使うなどして耐火性能
を高めた住宅に対し、耐火性能割引を適応する。
「新築物件割引」「オール電化割引」など様々な割引制度も用意し、保険料を抑えられるようにした。
契約締結は2010年1月1日以降。1月から保険料算定の構造区分が改定され、外壁にALCを採用
しても一般の木造住宅と同じ区分になる。新商品は、構造区分の改訂後もALC採用住宅向け火災
保険料が割安となるよう設計した。


この火災保険のカスタマイズは、顧客のためというよりも、代理店のためと考えられるでしょうか。
マーケティングの世界では、営業力が強くても、広告宣伝が上手でも、商品力が優れていなければ、
売れません。

「マーケット・イン」の商品開発というコンセプトがありますが、メーカーにおいて最も重要な
マーケティング活動は、商品開発です。営業力が強くても、広告宣伝が上手でも、商品力が優れて
いなければ商品は売れません。商品開発の最も重要な要素は「いかにして消費者が求める商品を作るか」
というマーケット・インの発想です。「売れるはずだと思って作った商品をいかにして売り込むか」
といった、対極にある「プロダクト・アウト」の発想は既に保険業界では通用しなくなりつつあります。
そのため、顧客の現実の欲求(ニーズ)及び潜在的な欲求(シーズ)を満たすことが不可欠となります。

しかし、一般的には損保会社は直接消費者と接触することはありません。つまり、消費者の声を直接
聞く機会がほとんどないのが実態です。契約者座談会など行なっているようですが、これは契約者の
ごく一部の声を吸上げているだけで、something newが隠されている消費者の声を収集できるとは
思えません。そこで、損保各社は顧客からの苦情を直接受け付ける相談センターを設置したり、
代理店から声を吸上げるなどして、顧客との距離を縮める仕掛けつくりに躍起になっています。

このようにして収集した顧客に関するさまざまな情報を分析することによって抽出された顧客のニーズや
シーズに基づいて、新商品を開発するのですが、上記記事の商品開発は顧客ニーズの具現化というよりは
代理店ニーズの具現化と捉えてしまいます。(良い悪いは別の話しですが)


それでは冒頭で触れた「カスタマイズ」とは、学術的にはどのような意味でしょうか。

端的に言うと、顧客のこだわりに対応し、商品内容を作りかえ、商品にメッセージ性を持たせる、という
ことと考えていますが、もう少し学問的に言うと、

消費者一人ひとりの好みや使い方に合わせて商品の仕様や内容を変えること。(紳士服などの)
オーダーメイド・サービスはカスタマイズの典型例ですが、「自分の好みを反映した自分だけのモノ」を
求める消費者のニーズは多くの商品分野に波及しています。例えば、パソコンやコンピュータ・ソフトの
カスタマイズもその一例です。パソコン通販で知られるデルコンピュータなどは、パソコンのスペックを
ユーザーが事前にオーダーできるシステムが売り物となっています。
トヨタで言えば、自動車のカスタマイズ専門会社「モデリスタ」を設立しています。外国製の部品も含めて、
カラーやライト、ホイール類など、ユーザーのさまざまな「自分仕様」注文に応じることによって、
「自分だけにしかないクルマ」というニーズにこたえるサービスを提供しています。
(保険業界においてここまでのカスタマイズは難しいような気もしますが・・・)


それでは、消費者の「こだわり」とは何でしょうか。

商品の価値には、

1.商品の物理的機能を示す「機能価値」
2.ユーザーの好みを示す「情緒的価値」
3.ユーザーの個性表現を意味する「自己表現価値」

があるとマーケティングの世界ではいわれています。

昨今の消費者の志向は、情緒的価値と自己表現価値に比重が移りつつありようです。
これが「こだわり」といわれるもので、商品選択の基準において、自分の生活ポリシーや生活感度に
合っているかどうかが重要な選択尺度となっているようです。

それでは、話を元にもどして、一見、顧客のためのカスタマイズとも思えますが、代理店のための
カスタマイズ商品を販売しているAIU社の意図は何でしょうか。

これは、AIUのポジショニング戦略として捉えることができると思います。

ポジショニング戦略とは、特定のセグメント(ここではへーベルハウスが保有する顧客市場)において、
他者との差別化を通じて自社の優位性を確立するための戦略です。企業の戦略において、ポジショニングが
意図するのは、消費者の頭の中に自社の商品を他社とは明確に違ったものとして位置づけることです。
情報があふれる現代において、特に保険のように新商品が続々と投入される市場においては、商品名や
その特長を覚えてもらうだけでも大量の広告投入が必要です。しかしながら、適切なポジショニングは、
類似品との競合を回避しながら売り上げや利益を確保するための重要なコンセプトといえます。

それでは、ポジショニングを成功させるためには・・・

有効なポジショニングは、商品やサービスの独自性とコミュニケーション戦略の独自性があいまって、
初めて可能になります。
コミュニケーションにおいては、メッセージを単純化し、顧客の頭にすばやく、そして確実にとどまるよう
にすることが必要です。例えば、最近需要が拡大している大型バイク市場において、国産各社が同じような
製品を同じように訴求しているのに対し、アメリカのハーレー社は製品の持つワイルドなイメージを前面に
出したプロモーションにより独自の地位を築いています。
一方、ドイツのBMWは、高い完成度を持つツーリング用バイクというイメージの訴求により、中高年
ライダーの間で人気を得ています。両者とも、製品特性とコミュニケーションが相乗効果をもたらした
好事例といえますが、損保会社においても、消費財や耐久財メーカーのマーケティング戦略を参考に、
コミュニケーション戦略を駆使して、自社のユニークな商品をどのように顧客に訴求していくのかが、
重要になります。

外資の血を引くAIU社の場合、商品開発力は申し分ありません。あとは、顧客に対しての訴求方法を
工夫していくことで、同社の戦略がより一層際立ち、市場シェアを上げる一歩になるのではないでしょうか。

本日は、AIU社を引き合いに出し、マーケティング戦略について考えてみました。

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