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<本日の対象記事(日経新聞11/6「大手損保4社、業績予想を上方修正 4〜9月期、運用収益が改善」>


大手損害保険4社は6日、2009年4〜9月期の業績予想をそろって上方修正した。自然災害が少なく、
保険金の支払額が予想を下回ったほか、株価の持ち直しなどで資産運用収益が改善した。国内景気の
低迷で業績が落ち込んだ前年同期に比べ、経常利益や純利益が大幅に増える。
東京海上ホールディングスでは、円高で外貨の保険金支払い負担が減ったことも追い風となった。
三井住友海上グループホールディングスは金融派生商品の評価益が170億円に増え、予想を140億円上回る
見通し。あいおい損害保険は自然災害の減少、ニッセイ同和損害保険は株式売却益などの増加が寄与した。
損害保険ジャパンも10月30日に業績予想を上方修正している。


損害保険各社の業績予想が上方修正されました。銀行も業績予想が上方修正されましたが、これは
元々日経平均を8,000円〜9,000円あたりをベースに、固い業績予想をしていたことによるものであり、
各社の収益力が高まっていることではありません。
「資産運用力といった投資戦略などの定性面が強化されている」といえるかもしれませんが、
これは中々定量的に評価できませんので、損害保険会社の収益力を表面的に捉えるために、今回の
業績を見る分には問題ないのかもしれません。

そこで本日は、今回の業績の上方修正に関連して、企業価値を上げるための「コーポレートファイナンス」
について考えてみたいと思います。

コーポレートファイナンスとは、MBAの世界では重要な科目ですが、馴染みのない方もいらっしゃると
思いますので、教科書的な定義を以下します。

1.企業価値の最大化を図る上で、いかに資金を調達し、投資すればよいかを金銭的側面から検討・実行する活動。
2.企業の財務活動のうち、事業に必要な資金を金融市場から調達するための活動の総称。

このように企業の財務活動全般を指して「コーポレート・ファイナンス」と呼ぶ場合と、その中で特に調達活動
(および配当政策)を指して「コーポレート・ファイナンス」と呼ぶ場合があります。後者は、資金を提供する側
の投資理論(インベストメント)と、事業のために資金を調達する企業金融理論(コーポレート・ファイナンス)
とに分類できます。コーポレート・ファイナンスの目的は、企業価値最大化のための財務手段を考えることですが、
企業価値は企業が将来に渡って生み出すキャッシュフローを、現在価値に換算して求めていきます。

企業価値を求めるための理論や手法、資金調達方法とその調達コストにまつわる理論や手法が「コーポレート・
ファイナンス」の骨格となりますが、 企業価値を求める方法には、金銭の時間的価値を考える「NPV(正味現在
価値)」、「DCF法」、「IRR(内部収益率)」などがあります。


これらの考え方・理論・用語は日常の営業活動や損害査定業務にはまったく無縁の理論ではありますが、
将来、経営者の立場になった時には絶対必要な考え・理論になりますので、まずは言葉だけでも覚えておいて
損はないと思います。

(このメルマガを購読している損保の若手社員の方は将来のための勉強として、保険代理店経営をしている
店主の方は、今の会社をより大きな会社にしていくための手法であり、大きくなった場合の財務力強化の一環
として憶えておいていただくと宜しいかと。。。)


教科書的な解説をもう少し続けますが、今回の業績修正を受け、昨今の台風被害がどの程度になるかによりますが、
今年度末の業績次第では、配当政策も重要となってきます。

この配当政策とは、収益の何割を配当として株主に還元するのか、または還元せずに内部留保して、将来の成長の
ための軍資金にするのか、などを検討することです。

具体的にお話しすると、

配当を実施すると、会社の口座に貯めている資金が減ります。つまり現金が流出します。
この「現金流出」というある意味デメリットを補って余りあるかどうかにより、「配当をどうするか」を決定する
ことが配当政策の肝となります。

配当する意義としては、

1.株主に対する利益分配・・株主満足度の向上、増資のとき募集条件に一定影響してきます。
  →上場会社の場合、利回りの優劣が株価に影響してきます。
2.対外的信用力の構築・・金融機関や取引先・顧客に対する信用の尺度の一つとなります。

(法人化している保険代理店の場合、株主が同族で決算書もどこにも出していなければ、このような外部要因は
 関係ないです。


それでは、話しを元に戻して、好決算時の利益はどのように使われるのでしょうか。色々な考え方があります。


1.とりあえず余剰資金として、将来のためにとっておく
2.株主配当には回さずに、事業(新規・既存)への投資やM&Aのために使う
3.有利子負債を返済するために使う
4.配当として株主に還元するために使う


まず、1.は論外です。
普通預金で置いておくにしてもMMFとかに入れるにしても、その利回りは株主が期待する収益率には遠く及ばない
と考えられます。
(手元流動性や遊休資産というのはある一定以上の水準を越えると株主価値を毀損させる原因になりますので)

2.の投資に使うというのは、当該投資の利回りが期待された以上の利益を生むのであれば(現在の期待収益率
以上であれば)正当化されます。ただし、株主が期待している収益率は大概が10%を超えますので、利回り10%
以上の投資案件を見つけるのは難しいと思います。

3.の有利子負債の返済というのは場合によっては是だと考えますが、損害保険会社にとっては採りにくい選択肢
と思われます。例えば、業績不振企業が有利子負債を減らせば市場から好感されるでしょうが、そもそも損害保険会社
は有利子負債を多くは抱えていませんので、適切な金額の有利子負債を適切に返済している限りにおいては、
投資家からはあまり歓迎されない手法だと考えられます。

最後に4.の「配当」ですが、一般論としても望ましく、株主満足が高まるのが「配当による還元」であり、
これが正しい経営判断だと思います。

理屈は簡単です。

株式投資をしている方であれば感覚的に理解できると思いますが、投資先からインカムゲイン以外に、配当として
現金が還元されるということは嬉しい限りです。また、その金額の多寡によっては、満足度は高まるばかりです。
満足度が高まれば、その企業に更に投資しようと考えますし、その結果、株価は上昇します。株価が上昇すると、
企業の価値は高まりますので、企業経営者にとっても願ったり叶ったりの結果となります。

経営者と投資家がWIN−WINの関係になるために重要な経営手法が、この「配当政策」となるわけです。
損害保険会社の社員の方、保険代理店を経営している方、保険代理店に勤務している方などの皆さんには公平に、
将来(現在)、経営者になる機会が与えられていると思います。

今は顧客満足のために現場の目線で、「顧客に良かれ」ということを考えている方が多いと思いますが、
数十年後は「投資家に良かれ」という経営判断も求められてくるはずです。

少し難しいと思われる「コーポレート・ファイナンス」の一部「配当政策」をご紹介しましたが、このメルマガ
を契機に、少しでもこの手の分野に興味を持っていただけると幸いです。いつかは皆さんも経営者になりますので。


配当政策に関するレポートがありましたで、お時間ある方は、こちらで自己学習していただくと良いと思います。

http://www.nli-research.co.jp/report/pension_strategy/2006/vol116/str0602b.pdf
http://www.nli-research.co.jp/report/report/2006/02/eco0602b.pdf
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