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<本日の対象記事(日経新聞10/18「保険金支払い先送り、日本興亜損保が意図を否定」>

日本興亜損害保険は保険金支払いを先送りしたとされる問題で、内部調査の結果を報告書にまとめ、
週明けにも金融庁に提出する。調査の結果、保険金額500万円以上の自動車保険で数十件程度、
支払いが遅れた案件が見つかったが、経営陣の関与を含め「意図性はなかった」としている。
同庁は報告書を精査したうえで業務改善命令などの行政処分の是非を検討する。
日本興亜の元役員である個人株主が5月、同社の監査役に保険金支払いの先送り行為について
全取締役の責任を追及する訴えを起こすように請求し、問題が表面化した。同株主は2〜3月にかけて、
収支のかさ上げを目的として同社役員が保険金の支払い先送りを指示したと主張していた。


以前のメルマガでもこの件については取り上げました。

当時の記事(日経新聞6/17より転載)

日本興亜損害保険の保険金部門の担当役員が2月の会議で「保険金の支払い見込み額を担当ごとに
1億円ずつ減らせば収支目標を達成できる」として、保険金の支払い先送りを示唆するとも受け
止められる発言をしていたことが16日わかった。
同社は5月、元役員の株主から保険金の支払い先送りを指摘されていたが12日、「経営陣の違法行為は
確認できなかった」と発表していた。


この記事に対して、管理人はサムライは以下のようなコメントしています。


損害保険会社では、部長会、本部長会、執行役員会、取締役会、経営会議など、経営の意思決定をするために
何階層にも会議体が分かれています。

これは、損害保険会社特有のものではなく、他の営利事業会社であれば同じ事です。

人事・組織、営業政策、保険金支払いにかかる方針、決算対応等に関する方針を企画するのが、各本社部門。
それを部長会などに付議して、現場目線で喧々諤々検討させる。その結果、浮き彫りになった課題を解決
させた後に、本部長会以上の会議体に付議し、多階層にわたるマネジメントに、分析・判断させるのが
事業会社の意思決定のプロセスです。

上記の記事に関してですが、管理人サムライの憶測ではありますが、まず「2月の会議」とは、どのレベル
の会議なのかが不明です。
日常的に行なわれている会議なのか、それとも上述したとおり、経営の意思決定ために行なわれる会議なのか、
仮に後者であれば、議事録は残っているはずですし、残すことが義務付けされていますので、それを確認すれば
結果は明らかです。しかしながら、その議事録が全ての頼りになるのですが、常識的に考えて、仮に記事の内容
のような指示が下されたとしても、そんなことを書き残しておけるでしょうか。
また、議事録は、その会議体の事務局の1番の下っ端が記入しますが出来上がった議事録は、そこで確定するの
ではなく、必ず参加に目を通してもらい、事務局側との認識の齟齬がないかを必ず確認します。
したがって、何か不味い記載があれば、必ず、修正・訂正がされます。

ですので、本件のような、「言った言わない」に関することの検証は会議体に参加した人間からの証言がない限りは、
事実は分りません。この会議体に「元役員」が出席していたのでしょうか。この「元役員」は、子会社の生命保険会社
の役員であったとの事ですから、出席していたことは考えづらく、同会議に出席していた部下や同僚から漏れ聞こえ
してきたのかもしれません。

「火のないところに煙は立たず」

「保険金の支払い見込み額を担当ごとに1億円ずつ減らせば収支目標を達成できる」の「担当ごと」とは、損害保険金
査定部門の「部レベル」を指しているのでしょうが、部レベルで言えば、30〜50部署くらいあると思われますので、
この指示が本当であれば、30億〜50億円程度の利益が捻出できたことになります。
日本興亜社の2008年度期の連結純利益は約100億円です。損害保険ジャパン社との統合を見据え、相手が赤字を
出すのが明白だからこそ、少しでも大きな利益を確保しておきたいという「意志」が見え隠れしてきます。真実はどうか
分りませんが、保険金を意図的に遅らせることは絶対してはいけないことです。ただ、損害保険会社は横並び意識が強く、
同じ企業文化が根付いていますので、このようなことは日本興亜社だけでしょうか・・・疑問です。
※これらのコメントはあくまで推測のものであり、事実を語っているわけではありませんのでその点ご了承ください。


以上が、以前のコメントですが、金融庁は保険金の支払いが遅れたとして日本興亜損保に近く業務改善命令を出す方向
で検討に入ったとのことですが、一部業務停止を受けたり、その後の顧客基点活動に傾注したりした社員のモチベーションは
どうなることでしょう。いずれにせよ、顧客軽視による不始末にはそれなりの罰則がつきまといますが、
経営者?または一部の社員の判断がここまで大きな問題にまで発展させることは信じがたいです。

2008年度内に処理できた保険金の支払いが09年4月以降にずれ込んだケースが約40件、総額7億円超あった
とみられているそうですが、組織的な不正はなかったと判断できたとしても、再発防止策や法令順守の強化は強く求められる
ことでしょう。保険業法に基づく監督指針では、保険金支払い条件を満たした場合には保険金を速やかに支払うよう
規定されています。このあたりは今回の保険法改正でも焦点が当たっているところであり、特段の自由がない限りは
事故受付後30日以内に保険金を支払うことになります。

日本興亜は問題の保険金支払いを10年3月期に繰り越すことになりますが、見込み額を09年3月期に支払い準備金
として計上しているはずであり、09年3月期の税引き後利益に影響はありません。2010年4月に予定されている
損害保険ジャパンとの経営統合を控え、今月下旬に統合計画の詳細を公表されるようですが、今回の改善命令は
統合計画にどの程度の影響を与えるのでしょうか。

経営統合に与える影響は相当なものでしょうが、まずは、日本興亜損保の従業員のモラールの低下が危惧されます。
モラールの低下を防ぐための処方薬をしっかりと投じる必要があります。

そして、話はそれますが、このようなスキャンダルの情報源は何なのでしょうか。

朝日新聞の法令順守(コンプライアンス)に関する100社調査によれば、不正行為の把握や防止のために、
内部告発の窓口を設けている企業が約6割あるといいます。
今回は元役員からの発信とのことですが、この元役員に告げ口したのはやはり内部に精通した人なのだと思います。
原発トラブル隠しや食肉偽装などの不祥事が発覚するきっかけは、すべて内部告発でした。
そこで目下、企業は告発者に解雇や配転といった不利益が及ぶのを防止する対策を検討しているようですが、
日本企業のトップは危機管理情報について「裸の王様」です。
だからこそ「重要な悪い情報が経営幹部まで、伝わっていない」という批判が多いのも事実です。
悪い情報が事前に日本興亜の経営トップに伝わっていれば、このような事態には至らなかったのかもしれません。
未然に防げたかもしれません。

悔やんでも悔やみきれないのが今の経営陣の心境なのでしょうが、是非今回の有事を、日本興亜だけではなく、
他損保会社も良い教訓としてもらいたいものですね。


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