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<本日の対象記事(日経ビジネス6/15日号「瀬戸際損保、生き残りの
 戦い」)>

東京海上日動社の代理店14社による代理店政策に対する不信や不満に
ついての陳述書です。「代理店の真情を訴える」というタイトルで
東京海上日動社の隅社長宛に「切実な思い」が込められた手紙です。
著作権の問題等がありますので、全てを説明できるわけではありませ
んが、ポイントは以下3つです。

1.保険会社側の社員力の低下
2.保険会社と代理店との間に隔たる溝
3.代理店手数料政策の機能不全


1.では、保険会社に優秀な社員がいなくなった
2.では、代理店は保険会社の姿勢に不信である
3.では、不条理な代理店手数料政策により保険会社と代理店間の
関係は変化した。機械的な関係の下、「奴隷」のような代理店業を
営む保険代理店に関心を持ってもらいたい

という切実な思いが綴られています。

保険代理店、保険会社、消費者の3つの立場からこの陳述書を読み解く
ことはできます。中立な立場でコメントしたいのですが、保険会社の
内情を知っているだけに、管理人のコメントはやや保険会社を庇護する
ようなコメントになってしまいそうなので、今回は保険代理店の思いを
汲みながら、保険代理店の立場で感想を述べたいと思います。

ただ、この保険代理店14店さえも、理解できていない、保険会社社員
も理解していないだろう事実があります。それが分ると、今の保険会社
が置かれた立場も一定理解することが出来るかもしれません。その点に
ついては後述したいと思います。


<管理人サムライのコメント>

14店は東京海上日動社に不満・批判だけをぶつけるのではなく、今
の現状に対して「関心」をもってもらいたいという真摯な思いで、社
長に訴えています。途中、感情論的な内容と捉えられる文脈もありま
すが、それは「血が通った文章」と捉えることもできます。
文章は論理破綻していると、読み手を辟易させてしまいますが、感情
が前面に押し出されていることを除けば、理路整然と、現況、今に至
る原因と分析について淡々と述べられているので説得力があります。

印象深かったは・・・

「東京海上は代理店を『人』としてとらえているのでしょうか」

という一文です。

一対一の関係の中で、営業担当者と保険代理店、内務事務者と保険代
理店など、個々の関係においては、「人」対「人」の関係なのでしょ
うが、経営的視点に立つと、「会社」対「モノ」というように、事象
の捉え方が変わってしまうのではないでしょうか。

保険代理店も「人」です。

組織に馴染まず、サラリーマンをやめた人
唯我独尊で、我が強く、独立精神旺盛な人
将来に不安を抱えていたところに「研修生制度」という甘い誘惑に
負けてしまった人
保険ビジネスが大好きでたまらない人
人のためになりたいと思い、人のためになる保険を真摯に販売する人
お客さんの声を代弁して、保険会社に苦言を呈す人
保険会社に変わってもらいたいと思い、切実に思いを語る人


以上のように、色々な 価値観(人生観・仕事感)を持った人が代理店
業を営んでいますが、この人たちは、保険ビジネスを始めた時から
保険会社に不信を抱いていたのでしょうか。保険会社を憎き敵と思って
いたのでしょうか。それは違うと思います。

「すれ違い」が積み重なり「不信」という感情が芽生えたのだと思います。

反対に、新入社員も入社時から保険代理店をウザイ存在と考えていたので
しょうか。それも違うと思います。周囲の上司・先輩達の言葉に影響され
感化され、そのように思い込むようになったのではないでしょうか。
その結果、保険会社に勤務する老若男女の社員が保険代理店を「モノ」と
して思い、扱うようになったのではないでしょうか。
その結果、自己都合(保険会社論理)の「代理店政策」が蔓延る(はびこる)
ようになったのではないでしょうか。

その最たる例が「代理店手数料政策」だと、陳述書は謳っています。

「保険代理店はポイントで操られておりますから、ポイントのために追い
まくられ、このポイント獲得のためにどれだけ苦痛を味わうか・・・」

営業社員であれば分ると思います。
自分の給料が予算達成度と100%リンクしていたとしたらどうでしょう。
イメージしてください。

月毎または年毎に、営業活動には絶不調がつきものです。
上長からは営業予算進捗状況のトレースを受け、損保・生保・代理店新設
の予算達成に向けた檄を飛ばされ、ヘトヘトになっているところに追い討ち
をかけるように、「コンプラ」というルーティンワークが振ってくる。
これら全てをオールマイティにこなさなくてはいけない。一つでも取りこぼ
しがあるようなら、上司に「死の宣告」をされ、次年度の給料は激減、社員
としての評価はガタ落ち。
一方で、強力な親父のコネを持っている同期社員は、仕事はそこそこのくせ
して、後ろ盾があるためか、上司・先輩からはちやほやされ、予算も達成で
きていないのに給料は下がるところか、なんとなく上がっているようだ・・。


代理店の置かれた立場をイメージしやすいように、営業社員で置き換えて
ストーリーを描いてみましたが、心理的ストレスが圧し掛かることがご理解
できるのではないでしょうか。営業社員は、年功序列型の給与規定で守られ
ていますから、上述したような「死の宣告」もありませんし、給与が年々
下がるということもありません。


一方で、保険代理店は、業務品質向上、損害率、増収率など様々な評価項目
があり、どれもこれもやらなければ、手数料ポイントが激減し、生活権が
奪われることになるのです。
保険代理店にも「家族」はいます。「家族」が幸せになるために、幸せを提供
するために、保険代理店も日夜努力しているのにそんな思いを知ってか知らずか、
保険会社は、非常に重いノルマを保険代理店に課してしまうのです。
それが「手数料政策」なのではないでしょうか。


手数料総額をコントロールしたいという保険会社の思惑とそれに反発する
保険代理店の構図は、2001年以降見られるものですが、ここで過去の
決算書を見てみると面白いことが分ります。


保険会社の事業費は、人件費、物件費、代理店手数料と3つに分けられます。
事業費が元受保険料に占める割合が事業費率であり、人件費・物件費が元受
保険料に占める割合が社費率、手数料が占める割合を手数料率と呼びますが
この推移を追うと興味深いことが分ります。
(日本損害保険協会HPで業界単位、各社単位の決算書が出てますので、
 そちらをもとに計算してください)

2002年は損害保険業界の再編が始まった年です。
同年以前の社費率と手数料率は業界全体で見ると、17〜18%程度で同じ
水準ですが、大半の保険会社では手数料率より社費率の方が高いです。
つまりは、保険会社は高コスト体質であった と判断できます。

それが、2002年以降、合併効果によるコスト削減、給与規定の改定や
福利厚生制度の改悪により社費率を劇的に下げています。2004、5年
には逆転し、手数料率のほうが社費率よりも高い状態になりました。
また、2001年から2008年の間に下がった幅は社費率の方が大きい
です。

つまりは、保険会社は以前の高コスト体質から脱皮を試行しているのです。


保険代理店からすると、保険会社の高給は鼻につくかもしれませんが、
以前と比べれば、残業代も出ずに、残業代は固定給に組み込まれ、給料上昇
は望めない給与規定になっているのです。

「それでもやっぱり保険会社の高給は許せない!」という意見があるかも
しれませんが、そういう方には・・・・

保険代理店手数料率は総じて20%前後です。
この事実を消費者が知ったらどうなることでしょうか。在庫も抱えない
ビジネスでありながらも粗利率が20%を超えるビジネスはほとんど
ありません。消費者諮問会の提言でも代理店手数料の開示の是非について
論議されていますが、保険会社の給料同様、保険代理店の手数料も高いと
一般消費者には認知されているのです。
この手の話は、保険会社側と保険代理店側とで、終始、水掛け論になって
しまいますので、この辺で終わります。

ビジネスは当事者間の信頼あって初めて成り立つことだということを忘れ
つつある今日この頃です。保険会社と保険代理店の喧嘩を「夫婦喧嘩」と
同義と解釈し、「すれ違い」を少しでも失くすような努力が必要ですね。


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